
50代になると、毛穴が急に目立ち始めたと感じる方が少なくありません。若い頃は気にならなかったのに、鏡を見るたびに頬の毛穴の開きや黒ずみ、乾燥による化粧崩れなどが気になるようになったという声も聞かれます。
更年期によるホルモンバランスの変化が重なる50代は、肌質そのものが変わりやすい時期です。50代の毛穴の悩みの背景には、加齢にともなう肌のハリや水分量の低下、ターンオーバーの乱れといった複数の要因が複雑に関わっています。
この記事では、たるみ毛穴・乾燥毛穴・詰まり毛穴といった代表的な悩みについて、それぞれの原因を解説した上で、タイプ別にスキンケアや生活習慣の見直し方法を紹介します。
目次
記事の監修者

崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
年齢を重ねるにつれて肌の状態は変化します。特に、50代は更年期に伴って肌質が変わることもあり、毛穴が目立ちやすくなります。
若い頃には感じなかった「頬の毛穴が開いてきた」「ファンデーションが毛穴落ちする」「黒ずみが気になる」といった悩みを抱える方もいるでしょう。これらの変化は、加齢による肌の構造の変化や、ホルモンバランスの乱れ、長年の生活習慣の影響によって引き起こされるものです。
毛穴トラブルは、タイプによってそれぞれ原因や対策が異なるため、まずは自分の毛穴の悩みがどのタイプなのか把握しましょう。
たるみ毛穴は、肌の加齢変化に伴って現れる毛穴トラブルの代表例です。
もともと毛穴は丸く小さな形をしていますが、50代になると肌ツヤやハリ、弾力を保つコラーゲンやエラスチンが減少し、皮膚全体のハリが低下します。結果、肌が重力に逆らえず下方向にたるみ、毛穴が縦に広がって涙やしずくのような形になります。頬の内側~下側によく見られ、ファンデーションが毛穴に入り込んでメイクが崩れやすくなるのも特徴です。
たるみ毛穴の主な原因は以下の通りです。
なお、たるみ毛穴は進行すると複数の毛穴が連なり、「帯状毛穴」と呼ばれる深い溝のような形状になることもあるので、早めのケアが大切です。
乾燥毛穴は、肌の水分不足が原因で毛穴の周辺がしぼんで見える現象です。
健康な肌は角層に十分な水分が保持されており、毛穴も目立ちにくい状態です。しかし、50代になると皮脂や保湿成分が減少しやすくなり、肌の乾燥が進行します。乾燥によって肌表面のキメが乱れると、毛穴が凹んで見えたり、周囲の肌に影ができて目立ったりするようになります。
さらに、乾燥を補おうとする肌の働きによって皮脂が過剰に分泌され、毛穴が押し広げられてしまうケースもあります。
洗顔後に肌がつっぱる、目元やほほに粉吹きがある、ファンデーションがムラになりやすい、肌がかゆい・赤みがある、といった場合、乾燥毛穴に注意が必要です。
詰まり毛穴は、毛穴内部に皮脂や古い角質、メイク汚れなどが溜まり、角栓となって毛穴をふさいでいる状態です。
角栓は皮脂腺の多い額や鼻などのTゾーンにできやすく、白く見える「白角栓」と、酸化や色素沈着により黒ずんだ「黒角栓(いちご鼻)」に分けられます。特に黒角栓は見た目にも目立ちやすいため、悩みの原因になりやすいでしょう。
詰まり毛穴の主な原因には、以下が挙げられます。
詰まり毛穴は放置すると、酸化や炎症によって大人ニキビにつながるリスクがあります。
毛穴トラブルは、加齢にともなうハリや弾力の低下に加え、乾燥、紫外線、生活習慣の乱れといった要因が組み合わさって起こります。そのため、毛穴トラブルを予防・改善するには日常的なお手入れの見直しが欠かせません。
ここでは、たるみ・乾燥・詰まりといった毛穴トラブル全般に共通する基本的な対策方法を紹介します。特別なケアを始める前に、まずは肌への刺激を減らし、日常のスキンケアや生活習慣を整えましょう。
50代の肌は乾燥しやすく、バリア機能も低下している敏感肌です。そのため、洗顔による刺激が毛穴トラブルを悪化させる原因になります。毛穴の汚れを取り除こうと強くこすったり、洗浄力の高い洗顔料を使ったりすると、必要な皮脂まで落としてしまい、肌の潤いが失われやすくなるでしょう。
洗顔料は、肌にやさしい低刺激タイプを選ぶのがおすすめです。肌をなでるようにくるくると優しく洗い、すすぎは32~33℃程度のぬるま湯を使うことで、皮脂を取りすぎずに洗顔できます。
洗顔後は水分の蒸発を防ぐために、忘れずすぐに保湿を行いましょう。
50代の肌は、年齢とともに保水力が低下しやすくなっています。角層の水分が減ると肌のキメが乱れ、毛穴の目立ちやすい状態につながるため、保湿ケアは毛穴対策の基本です。朝晩のスキンケアで丁寧に保湿を続けることで、肌のバリア機能が整い、乾燥や外部刺激に強い肌環境が保たれます。
保湿ケアにあたっては、LPS、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンなどの保湿成分を含む化粧品がおすすめです。LPSは肌本来が持つうるおいをサポートし、セラミドやヒアルロン酸は角層の水分を保持する働きが期待されます。さらに、コラーゲン配合のアイテムなども肌のうるおい感アップに役立つとされています。肌の潤い感不足に悩んでいる場合、LPSを含む乳液や美容液も検討するとよいでしょう。
肌の健康は、外からのケアだけでなく体の内側からのサポートも重要です。特に、たんぱく質やビタミン類、ミネラルなど肌の材料となる栄養素をバランスよく摂取することが、毛穴の開きや詰まりの改善に役立ちます。
50代の方が摂りたい栄養素
たんぱく質:体をつくる材料となる
ビタミンA・C・E:抗酸化作用やターンオーバーのケアにつながる
亜鉛・鉄:肌の修復を助ける
また、軽いウォーキングやストレッチなどの運動を継続することで血流が促進され、栄養が肌まで届きやすくなります。加えて、運動はストレス解消につながり、更年期のイライラや疲労感にも良い影響を与えるので、50代の方は無理せず続けられる運動習慣を身に着けるのがおすすめです。
紫外線は、毛穴の開きやたるみを引き起こす最大の外的要因です。紫外線を浴びると、肌内部のコラーゲンやエラスチンが破壊され、ハリや弾力が失われやすくなる「光老化」が起こります。結果、毛穴が広がり、皮膚がたるむ原因となります。
紫外線対策は季節を問わず1年中必要です。屋外に出る際は、SPF・PA値が適切な日焼け止めを塗り、2~3時間おきに塗り直すことが望まれます。また、顔だけでなく首元、デコルテ、手の甲など露出しやすい部分も忘れずに対策しましょう。
帽子や日傘、サングラスなど物理的な紫外線カットも併用すると、より効果的に紫外線ダメージを軽減できます。
たるみ毛穴が目立つようになると、悩みの原因になります。毛穴を引き締めたいと思うなら、エイジングケア成分を含むスキンケア製品を取り入れたり、顔の筋肉を鍛えるアプローチをしたりするとよいでしょう。
たるみ毛穴に悩まされている方には、肌の弾力を高める成分が配合されたスキンケア製品の活用がおすすめです。
特に、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの生成を促す線維芽細胞を活性化する成分に注目が集まっています。中でもLPSやヒアルロン酸、セラミド、コラーゲンなどは保湿成分として知られており、乾燥を防ぎ、肌に弾力やうるおいを与えてくれます。
万人に効果があるとは限らないものの、日々のスキンケアには、こうした成分を含む美容液やクリームなどを取り入れてみてください。
顔には約50個の表情筋が存在していますが、年齢とともにこれらの筋肉をうまく使えなくなると、皮膚を支える力が弱くなり、たるみ毛穴の原因になります。
表情筋を意識的に動かすエクササイズは、日常的に取り入れやすく、道具も不要なため継続しやすい方法です。適度なエクササイズは表情筋の柔軟性を保ち、血行を促進する効果にもつながります。
「あ・い・う・え・お」と口を大きく動かす運動や、唇を外側にめくったり内側に巻き込んだりする口輪筋のトレーニングなどを日々のスキンケアの前後などに取り入れると、顔のたるみの予防にもなります。
フェイスマッサージは、血行やリンパの流れを促進し、老廃物の排出を助けることにつながり、たるみ毛穴の予防や改善に役立ちます。
年齢とともに表情筋が硬くなり、血流や代謝が低下すると、むくみや脂肪の蓄積が進みやすくなります。マッサージによって筋肉をほぐすと、皮膚に栄養が届きやすくなるほか、筋肉が弱ってたるんだ顔を引き上げる効果にも期待できるでしょう。
フェイスマッサージは、クリームや美容液で肌をしっとりさせてから、指の腹を使って額からこめかみ、頬から耳の下、そして鎖骨に向かって流すように優しく行います。強くこすると肌に強い刺激を与えるので、力を入れすぎず、摩擦を避けることがポイントです。毎日のケアに組み込むことで、より効果が得られやすくなります。
セルフケアで十分な効果が得られない場合には、美容クリニックでの施術も選択肢の1つです。
例えば、HIFU(高密度焦点式超音波)やRF(高周波)機器を使った治療は、肌の奥深くに熱を与えてコラーゲンの再生を促し、皮膚の引き締め効果を狙って行います。また、皮膚の下に特殊な糸を通してたるみを引き上げることで、毛穴の開きが目立ちにくくなる糸リフトなどの施術を行うケースもあります。
施術内容や効果の持続期間は人によって異なるため、信頼できる医師のカウンセリングを受けた上で、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
乾燥毛穴を目立たせないためには、日常生活の中で肌への負担を抑えつつ、乾燥肌の保湿を中心としたケアを行うことが重要です。ここでは、スキンケアや生活習慣の中で実践しやすい乾燥毛穴対策を紹介します。
高温の湯船に長時間つかることは、肌の皮脂や保湿成分を過剰に洗い流してしまい、乾燥毛穴を悪化させる原因となります。入浴時の温度は38ー40℃のぬるま湯に設定し、長風呂は避けましょう。
ただし、湯船につかると、血行が促進され、毛穴が開いて汚れが落ちやすくなるというメリットもあります。毛穴詰まりの解消にもつながるため、適切な温度と時間で入浴するのが大切です。
寒い時期はお湯の温度を上げるのではなく、浴室を温めて快適に入浴できるよう工夫することで、肌への負担を軽減できます。入浴後は速やかに保湿を行い、水分の蒸発を防ぎましょう。
乾燥が気になる肌にとって、メイクアップ用品の選び方も大切です。50代の肌はバリア機能が弱まっているため、低刺激で保湿成分を含む製品を選ぶことで、肌への負担を減らしながら毛穴の目立ちを防げます。
保湿成分が配合されたファンデーションや下地は、乾燥による毛穴の開きを和らげる効果が期待できます。また、「アレルギーテスト済み」「ノンコメドジェニックテスト済み」といった表記のある製品もおすすめです。
クレンジングの摩擦を減らすため、石けんで落とせる軽めのメイク用品を選ぶのも有効です。日中の乾燥が気になる場合は、メイクの上から保湿ミストを使うなど、こまめな潤い補給も取り入れましょう。
乾燥毛穴には、通常のスキンケアに加えて美容液や保湿パックを活用した集中ケアが効果的です。特に、LPSなどの保湿成分が配合された美容液を用いることで、肌の内側から潤いを補給できます。
化粧水や乳液だけでは物足りないと感じる場合、スペシャルケアとして週に1~2回、保湿効果の高いシートマスクを取り入れると、角質層の水分量を一時的に高めることが可能です。
ただし、過剰な使用や長時間の貼付けは肌の負担になるため、製品の使用頻度や時間を守ることが大切です。乾燥毛穴対策は継続が重要であり、日常のスキンケアと組み合わせることで効果を高めることができます。
肌の乾燥は外側のケアだけでなく、体の内側からの水分不足によっても引き起こされます。そのため、1日を通じてこまめな水分補給を意識することが、乾燥毛穴の予防につながります。
成人であれば、1日あたり少なくとも約1.2リットルの水分補給が推奨されています。
ただし、カフェインやアルコールなど利尿作用のある成分を含む飲み物を飲むと体内の水分が失われやすくなるため、水や麦茶、ハーブティーなどノンカフェインの飲み物を中心に摂取するのが理想的です。また、あまり冷たいものを飲みすぎると体の冷えを招くので、常温もしくは温めた飲み物がよいでしょう。
水分が不足すると血流が滞り、ターンオーバーの乱れにもつながります。肌の細胞が正常に生まれ変わるためには、適切な水分環境が不可欠です。スキンケアとあわせて、日々の水分摂取も習慣化しましょう。
詰まり毛穴はターンオーバーの乱れなどが原因で、角質や皮脂が毛穴にたまって起こります。毛穴の悩みを解消したい方は、洗顔や保湿、生活習慣の見直しによってターンオーバーの改善を目指すのが一歩目となるでしょう。
詰まり毛穴の主な原因は、古い皮脂や角質が毛穴内部で固まり、角栓となって蓄積することです。そのため、古い角質をやさしく取り除くケアが欠かせません。
古い皮脂や角質を吸着できるタイプの洗顔料を、週1~2回程度のスペシャルケアとして取り入れると、毛穴内部の不要な物質を取り除きやすくなります。ただし、あまり洗浄力の強い製品は肌を乾燥させてしまうため、保湿成分を含むものを選ぶことが大切です。
ピーリングアイテムも角質ケアに役立つことが多い一方、50代の肌には刺激となる場合もあるため、使用頻度や成分には十分注意しましょう。
洗顔後の肌は非常に乾燥しやすい状態になっており、放置すると皮脂が過剰に分泌され、結果的に毛穴詰まりを引き起こします。そのため、洗顔直後の保湿は詰まり毛穴対策の基本です。
保湿の手順としては、まず化粧水でしっかりと水分を補給し、美容液で必要な成分を補った後、乳液やクリームで潤いを閉じ込めましょう。特に乾燥しやすい頬や小鼻まわりには、重ね塗りをしても構いません。
洗顔後5分以内に保湿を始めると、水分蒸発を防ぎ、肌のバリア機能を保ちやすくなります。
ビタミンCは、毛穴の詰まりや開きに悩まされている方が摂りたい栄養素です。
ビタミンCにはコラーゲンの生成を促す作用もあり、肌にハリを与えて毛穴を引き締めるのに役立ちます。また、抗酸化作用もあるため、角栓の酸化を抑え、黒ずみ毛穴の予防にも期待できます。
出典:厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』「ビタミンC」
摂取方法としては、キウイ・いちご・赤ピーマン・ブロッコリーなどの食品がおすすめです。ビタミンCは水溶性で体内に蓄積されにくいため、こまめに摂ることが大切です。サプリメントを活用しても良いですが、用法・用量は守るようにしましょう。
ターンオーバーの乱れやホルモンバランスの崩れは、詰まり毛穴を悪化させる要因となります。そのため、生活リズムを整え、質の高い睡眠を確保することが大切です。
人間の体には、肌の修復やターンオーバーを促す成長ホルモンを、就寝から2~3時間以内の深い眠りについたときに最も多く分泌する仕組みがあります。入眠前にスマートフォンの使用を控えたり、ぬるめのお風呂に浸かったりすることで、2~3時間以内に深い眠りに入りやすい睡眠環境を整えられるでしょう。
出典:東洋大学「神経生物学の専門家に聞く、私たちの健康に欠かせない「ホルモン」の秘密」
加えて、毎朝同じ時間に起き、朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、ホルモンバランスが整いやすくなります。50代の女性はホルモンバランスの乱れにより眠りが浅くなりやすいので、若い頃以上に生活リズムを整える意識を持つのが大切です。
50代の毛穴トラブルは、加齢や生活習慣の影響により複数の要因が重なって発生しやすくなります。いずれのタイプにも共通する基本的な対策としては、低刺激な洗顔や丁寧な保湿、バランスの取れた食事、紫外線対策、規則正しい生活習慣などが挙げられます。さらに、自分の毛穴タイプに応じたスキンケア製品の選択や、表情筋トレーニング、フェイスマッサージなどを取り入れることで、毛穴の目立ちを軽減することが可能です。
毛穴の悩みを放置せず、自分の肌に合った方法で適切にケアすることが、健やかな肌を保つ第一歩となります。年齢に応じた対策を習慣化することで、毛穴トラブルを予防・緩和できるでしょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・大阪府済生会千里病院
・大手美容クリニック大型院院長
・美容クリニック技術指導医
・崔先生の糸リフト塾代表
・SAI CLINIC 院長
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
エイジングケア・たるみ治療のスペシャリスト。糸リフトは症例件数10,000件以上、SBCベストショットアワードなど数々の賞を受賞。
オーソモレキュラー栄養療法と美容医療を融合し、体の内側と外側の両方からアプローチすることで自然な健康美を目指すSAI CLINICを大阪梅田で開院。
特にミドル世代からの支持が厚く、県外からのリピーターも多い。