乾燥した髪はパサつきが生じ、触感が硬くなります。髪の扱いにくさが増し、スタイリングが難しくなる原因にもなるでしょう。また、髪の光沢が失われるため、見た目の美しさも損なってしまうケースがあります。特に長い髪の場合は、乾燥によって毛先のダメージが顕著になりやすいです。
当記事では、髪の毛が乾燥しやすくなる主な理由と原因、および髪の毛の乾燥対策について具体的に紹介します。髪の毛の乾燥に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
乾燥した髪は、つややかさが失われ、触感がゴワゴワ・パサパサして見えるのが特徴です。また、乾燥は髪の強度と弾力性を低下させるため、切れ毛や枝毛の原因にもなります。
髪の毛が乾燥するメカニズムとしては、主に以下の理由が挙げられます。
そもそも髪の毛は3つの主要な層から成り立っています。外側のキューティクルは鱗のような細胞で、髪を保護し光沢を与えます。中間層のコルテックスは髪の強度と色を決定し、最も厚い部分です。一部の髪に存在する内側のメデュラは、髪の中心部を形成しています。
キューティクルの主な役割は髪の内部構造を外部のダメージから守ることです。健康なキューティクルは、髪に自然な光沢を与え、滑らかな触感を保つ助けとなります。しかし、キューティクルが損傷を受けると、髪の内部に含まれる水分やタンパク質が失われやすくなり、結果として髪は乾燥し、パサつき、もろくなります。
キューティクルの損傷の原因には、過度な熱や、化学物質などの影響、物理的な摩擦、紫外線の影響などがあります。したがって、髪の健康を維持するためには、キューティクルを保護し、その損傷を最小限に抑えることが重要です。
髪の毛の乾燥は、日常生活の中で多くの人が経験するさまざまな要因によって引き起こされます。以下では、髪の毛が乾燥する一般的な原因と、髪の健康に及ぼす影響について詳しく説明します。
シャンプーの主な役割は頭皮と髪の汚れを洗い流すことですが、シャンプーには一般に界面活性剤が使用されています。強力な界面活性剤は、必要以上に髪の自然な油分や水分を取り除いてしまうことがあり、その結果として髪が乾燥しやすくなります。
特に硫酸塩を含むシャンプーは、強力な洗浄力を持つ一方で、髪のキューティクルを損傷し、髪の保護バリアを弱めることが少なくありません。
キューティクルの損傷は、髪の水分保持能力の低下を招き、結果的に髪の乾燥につながります。また、シャンプー後に十分な保湿ケアを行わない場合、髪の乾燥はさらに進行する可能性があります。
ドライヤーやアイロンによる熱処理も、髪の毛が乾燥しやすくなる主要な原因の1つです。ドライヤーやアイロンは高温を利用して髪の形を整えますが、その過程で髪の自然な水分が失われることがあります。特に高温で長時間髪に熱を当て続けると、髪の内部構造であるコルテックスがダメージを受け、水分保持能力の低下を招きます。
さらに、熱は髪の表面を覆うキューティクル層にも影響を及ぼし、キューティクルが損傷すると、髪はさらに水分を失いやすくなるでしょう。これにより、髪は乾燥し、パサつき、もろくなり、切れ毛や枝毛の原因となることがあります。
熱によるダメージを最小限に抑えるためには、低温~中温での使用や、熱を均等に分散させて乾かすことが効果的です。熱処理を行った後は、髪に十分な水分を補給し、栄養を与えることで、髪の健康を保ちましょう。
カラーやパーマでは化学薬剤が用いられ、髪の内部構造に変化を与えます。
ヘアカラーは髪のメラニン色素を変化させるために、キューティクルを開いて薬剤が内部に浸透する必要があります。この過程でキューティクルが損傷し、髪の自然な保護層が弱まることがあります。
同様に、パーマ液は髪のタンパク質結合を変化させるために強い化学反応を起こし、これによって髪の強度と水分保持能力が低下します。カラーやパーマの処理によるダメージは、髪の乾燥、弾力性の喪失、パサつき、もろさの増加などを引き起こしやすくなります。
カラーやパーマによるダメージを最小限に抑えるためには、カラーやパーマをする間隔を適度にあける、髪に優しい薬剤を使用している美容室を選ぶ、といったことが大切です。
紫外線は髪の内部構造、特にキューティクル層にダメージを与えます。キューティクル層が損傷すると、髪の内部に含まれるタンパク質や水分が外部に逃げやすくなり、結果として髪は乾燥しやすくなります。また、紫外線は髪のメラニン色素にも影響を与え、色あせや色の変化を引き起こすことがあります。特に長時間太陽の下で過ごすときには、髪のダメージが蓄積されやすくなるでしょう。
紫外線から髪を守るためには、UVカット効果のある帽子やスカーフを使用する、紫外線保護スプレーやトリートメントを使用するなどの対策が有効です。これらの対策は、髪の表面をコーティングし、紫外線によるダメージを減らすのに役立ちます。
髪の毛の乾燥は日常生活におけるさまざまな要因によって引き起こされますが、適切な対策を講じることで髪の毛の乾燥を防ぎやすくなります。以下では、髪の乾燥を防ぎ、健康な髪を保つための具体的な方法と手順を紹介します。
まず洗髪前のブラッシングが重要で、これにより髪の絡まりを解消し、シャンプー時の摩擦を減らせます。頭皮ケアに適したブラシを使用すると、頭皮の皮脂汚れも効率的に浮かせられるでしょう。
また、シャンプーの前に予洗いを行うのがおすすめです。予洗いではシャワーを使って髪と頭皮の汚れを優しく洗い流し、頭皮をマッサージするように洗います。
シャンプーの使用に際しては、髪に直接シャンプーをつけるのではなく、手で少し泡立ててから髪に乗せましょう。これにより、髪と髪の摩擦を減らし、キューティクルの損傷を防ぎやすくなります。頭皮を洗う際には、爪を立てずに指の腹を使いましょう。シャワーでしっかりとすすぎ、頭皮や髪にぬるつきがなくなるまで洗い流します。また、熱いお湯は髪や頭皮の乾燥の原因となり得るため、ぬるめのお湯で洗い流すようにしてください。
シャンプー後は、髪の自然乾燥を避け、ドライヤーを使って優しく乾かすことが重要です。ドライヤーの使用時には、髪から10~15cm以上離し、熱を与えすぎないように注意しましょう。
トリートメントは髪の内部組織を補修し、特にパーマやカラーによって乾燥しやすくなった髪にうるおいをもたらし、傷んだキューティクルの修復に役立ちます。さらに、トリートメントは外部からのダメージから髪を保護する効果も持ち合わせています。例えば、ドライヤーやヘアアイロン使用前にトリートメントを髪になじませることで、熱によるダメージを軽減することが可能です。
また、シャンプー後のヘアケアでも、ヘアオイルやトリートメントの使用が推奨されます。髪に必要なうるおいや栄養を与え、それらが逃げるのを防ぎます。目の荒いくしを使用することで、トリートメントを髪全体に均等に分布させることができ、より均一な保湿効果が得られるでしょう。
なお、多く使用すればいいわけではないので、使用量については製品の指示に従うことが大切です。
ヘアケアやスキンケアは、季節に合わせた対策を取ることが大切です。
冬場のように暖房が利用され、空気が乾燥する環境では、肌と同様に髪のケアも重要になります。加湿器を使用して湿度を保つことや、保湿ケアをして、髪のキューティクルの乾燥を防ぎましょう。外出時にはヘアオイルや洗い流さないトリートメントを使うことで、冷たく乾燥した外気から髪を守ることが可能です。
一方で、夏場は紫外線対策が重要です。スプレータイプの日焼け止めや帽子を活用することで、キューティクルや頭皮の乾燥を防ぎ、紫外線によるダメージから髪を保護できます。
髪の毛の乾燥を引き起こす外部要因には、シャンプーによる過剰な洗浄、ドライヤーやアイロンの熱によるダメージ、カラーやパーマによる化学的な影響、紫外線などが挙げられます。これらの要因には、髪のキューティクルを損傷し、水分保持能力を低下させるという特徴があります。
対策として、シャンプーの際は、事前のブラッシングで髪の絡まりをほどき、シャンプーを泡立ててから髪に使用しましょう。熱いお湯ではなく、ぬるま湯で洗い流すことが大切です。また、トリートメントやヘアオイルを使用し、髪に必要な栄養と水分を補給することも効果的です。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。