年齢を重ねると、頭皮や毛髪に悩みを抱えやすくなります。なかでも頭皮の乾燥は多くの方が悩んでいる頭皮トラブルです。頭皮が乾燥すると、フケやかゆみ、抜け毛などが生じやすくなります。
この記事では頭皮が乾燥する理由や、乾燥して頭皮の状態が悪化してしまう原因について解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
記事の監修者
竹内 想
皮膚科医
頭皮は全身のなかで皮脂腺が最も多く、汗腺も多い部位です。そのうえ高湿度なので、頭皮を触ると湿っているという方もいます。しかし水分保持力は低く、顔や体の皮膚よりも乾燥しやすい特徴があります。
それでは、頭皮が乾燥しているとどのような症状が引き起こされるのでしょうか。次の項目から解説します。
髪の悩みで多いのがフケです。フケの正体は、頭皮のコンディションの変化によって表面に押し上げられた角質細胞です。頭皮が過剰に乾燥すると、頭皮の新陳代謝が適切に行われなくなり、フケが発生しやすくなるのです。
頭皮が乾燥すると、外部刺激から頭皮を守るバリア機能が低下してしまいます。その結果、些細な刺激にも敏感になりかゆみを感じるようになります。しかし、かゆみがあるからといって頭皮をかくとよりバリア機能が低下し、さらなるかゆみに悩まされることになってしまいます。
頭皮が乾燥すると、皮膚に炎症が起きてしまいます。その結果として髪の成長が抑制され、慢性的な抜け毛につながってしまうことも。また、かゆいからといってかきむしってしまうと、刺激によって髪が抜け落ちるので注意が必要です。
それでは、頭皮はなぜ乾燥してしまうのでしょうか。頭皮が乾燥する理由を解説します。
頭皮は皮膚です。そのため水分や皮脂が不足すると、頭皮の潤いも低下します。先天的に乾燥肌の方と、日々の頭皮ケアや生活習慣が原因で乾燥肌になる方がいますが、どのケースでも肌の乾燥は健やかな髪の大敵です。
洗浄力の強いシャンプーは、頭皮の水分と皮脂を過剰に奪ってしまいます。その結果、頭皮の保水力が低下し乾燥を引き起こしてしまうのです。ラウレス硫酸、アルキル硫酸、硫酸エステルなどが成分に含まれるシャンプーは、洗浄力が高いと言われているため、人によっては乾燥の原因になってしまいます。
ストレスが溜まっていると、頭皮への血流が不足します。その結果、肌コンディションの乱れにつながります。ストレスにより自律神経が乱れると交感神経が優位になって血管が収縮し、頭皮の血流が悪くなります。そうなると、バリア機能が低下して古い角質が頭皮に溜まってしまうため、肌のコンディションの乱れにつながります。
頭皮や毛髪に不快な症状があるなら、体をつくる食事に問題があるのかもしれません。食事の栄養バランスが崩れると、肌と頭皮のコンディションが乱れてしまいます。食事で摂取した栄養素は血液中から頭皮に運ばれるためです。特に油の多い食事は頭皮に悪い影響を与えてしまいます。
ドライヤーは、使い方によっては頭皮を傷めてしまうことがあります。例えば、頭皮の近くでドライヤーをかけたり、同じ場所に熱風を当て続けたりすると、ドライヤーの熱が頭皮にダメージを与え、頭皮の乾燥を引き起こしてしまいます。
爪を立てる、ゴシゴシと洗う、強い力を入れるような洗い方は頭皮に悪影響を及ぼします。摩擦によって乾燥したり、頭皮が傷付いて炎症を起こしたりしてしまうかもしれません。さらに、炎症を引き起こした状態でヘアケア製品を使うと刺激を受けやすくなります。
女性の場合は、更年期障害の影響で頭皮が乾燥している可能性があります。更年期障害で女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、髪や肌、粘膜の乾燥を引き起こします。その結果、頭皮のかゆみや湿疹に悩まされることがあります。
生活習慣の乱れも頭皮のコンディションに悪影響を及ぼすことがあります。運動不足がたたると全身の筋肉が凝り固まり、血行が悪くなってしまいます。その結果、頭皮のコンディションの乱れや乾燥を引き起こします。また、睡眠不足もホルモンバランスが崩れて自律神経が乱れ、血流を低下させます。
水分補給が不足すると、血液がドロドロになり、血流が悪くなります。その結果、全身の皮膚はもちろん頭皮の血流も滞ってしまい、頭皮のコンディションが乱れ、頭皮の乾燥を引き起こします。水分が不足し乾燥した状態では適切なタイミングで新陳代謝が起きなくなってしまうのです。
頭皮の乾燥が悪化してしまうこともあります。次の項目では、頭皮の乾燥を悪化させる原因を紹介します。
エアコンの冷暖房によって部屋の湿度が奪われると、皮膚や頭皮の水分が不足してしまいます。冷房や暖房の効いた部屋に長く滞在するとどうしても頭皮が乾燥してしまうので気をつけましょう。長時間エアコンを使用する場合、風が直接当たらないようにしましょう。
シャンプーの回数が多いと、頭皮の水分と皮脂を過剰に奪うことにつながります。シャンプーの適切な回数は人によって異なりますが、1日1回が一般的な頻度です。またシャンプーの種類によっては皮脂を落とす力が強過ぎて、体に必要な水分や皮脂まで奪ってしまうものもあります。頭皮の乾燥が気になる場合はシャンプーの回数や種類を見直してみてください。
髪の毛を乾かさないまま放置してしまうと、頭皮の常在菌が増えて炎症を引き起こすことにつながります。その結果、頭皮が不潔な状態になり、フケやかゆみのような症状が起きることもあります。面倒であっても、髪の毛は必ず乾かしてから寝るようにしましょう。
頭皮の乾燥を防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。次の項目では、頭皮の乾燥を予防する方法を紹介します。
食生活が原因で頭皮が乾燥している場合は、食事の栄養バランスを整えましょう。特に、タンパク質やビタミン、ミネラル、亜鉛などを多く摂取してください。ただし、摂り過ぎには注意が必要です。栄養素の偏りに気をつけて、バランスのよい食事を意識してください。
ドライヤーは、頭皮から20cm以上離して使用するようにしましょう。また、同じ部位に熱が集中することがないよう、ドライヤーのヘッドを左右に細かく振りながら乾かすことが大切です。さらに、事前にタオルドライすると時間短縮につながります。
頭皮の血流を促すと、コンディションが整いやすくなります。頭皮マッサージは血流を改善し、頭皮トラブルの予防効果が期待できます。また、ストレス発散にもつながります。両手の指で頭皮を押すようにマッサージしてください。
エアコンなどで部屋の湿度が低いときや、乾燥する季節で空気が乾いているときは、加湿器を使用しましょう。加湿器は、湿度を調節できるものがおすすめです。湿度が30%以下になると水分を失いやすくなるので、50%~70%を保ってください。
洗浄力がマイルドなシャンプーを使用すれば、皮脂を洗い流し過ぎず適度に保つことができます。炎症を起こしている頭皮には、低刺激のシャンプーで刺激を減らすようにしましょう。アミノ酸系やベタイン系のシャンプーは刺激が少ないと言われています。
40度以上の熱いお湯は、頭皮に必要な皮脂まで落としてしまいます。反対に、あまりにもぬる過ぎると皮脂が固まってしまうため、38度前後のぬるま湯で洗うようにしましょう。また、すすぎが足りないとシャンプーが頭皮に残ってしまうので、3分程度の時間をかけてしっかり洗い流してください。
頭皮が乾燥する原因は、シャンプーやドライヤーに問題があったり、食事やストレスなどの生活習慣に問題があったりする場合が多いです。自分に合ったシャンプーを選び、頭皮ケアの方法や食生活なども見直してみましょう。
※医師の記事監修は医学的内容に関する部分のみ行っており、特定の商品についての効果を保証するものではありません。
記事の監修者
竹内 想
皮膚科医
2016年に大学を卒業後、市中病院での初期研修を経て現在は皮膚科医として複数の病院やクリニックで外来診療を行う。皮膚科医として専門的な内容をわかりやすく伝えることに重点をおき、WEB記事監修や執筆を行っている。