日焼け止めは、紫外線(UV)から肌を保護するために使用される化粧品です。紫外線には、肌の老化を促進するUVAと、日焼けの原因となるUVBがあります。日焼け止めには、UVAやUVBを吸収したり反射したりして、肌に到達する前にブロックするような成分が含まれています。
また、日焼け止めには「SPF(Sun Protection Factor)」と「PA(Protection Grade of UVA)」という2つの指標があります。SPFは主にUVBからの保護度を、PAはUVAからの保護度を示す指標です。SPFやPAの数値が高いほど、紫外線からの保護効果が強いことを意味します。
そのため日焼け止めは、肌の露出部分に適切な量を正しく塗ることが重要です。当記事では、日焼け止めの正しい塗り方や、ポイントについて紹介します。
目次
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
日焼け止めの適切な使用量は、多くの人が想像するよりも実はもっと多いです。
まず、日本化粧品工業連合会SPF専門委員会の資料によれば、肌の1平方cmあたり2mgの日焼け止めを使用することが基準となっており、この量を守らなければ、商品に表示されているSPFやPAの数値が示す効果は得られないとされています。
出典:J-STAGE「日本化粧品工業連合会SPF測定法基準」
「肌の1平方cmあたり2mg」というと少し分かりにくいですが、環境省の「紫外線環境保健マニュアル」によれば、クリームタイプであればパール2粒分、ローションタイプでは1円玉2枚分が目安とされています。
また、「ティースプーンルール」という国際的な方法もあります。顔や首にはティースプーン1杯、胴体部分には2杯、両腕にはそれぞれ1杯、両脚には2杯ずつの量を使用する、といった方法です。
多くの人は日焼け止めを正しい量よりも少なく塗っている傾向にあるので、自分は適量をしっかり塗れているか一度確認してみるとよいでしょう。
顔の日焼け止めの塗り方・ポイント |
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日焼け止めは重ね塗りをすることでムラなく均一に塗れ、その効果も長持ちします。そのため、顔全体に一度塗った後に同量をもう一度取り、全体に重ね塗りをしましょう。特に頬、額、鼻、あごは日焼けしやすく日焼け止めが落ちやすい部分なので、重点的に塗ることが大切です。ただし、十分な量を塗っても、ムラができると肌がまだらに焼ける可能性がありますので、塗り方には注意しましょう。日焼け止めを塗り終わったら、最後に両方の手のひらで顔全体を包み込むように優しく押さえます。
また、塗り忘れが起こりやすい部位、例えば髪の生え際、小鼻の周り、耳、フェイスラインにも注意が必要です。化粧をする場合は、日焼け止めを塗った後、化粧下地、ファンデーションの順で進めましょう。
日焼け止めは時間が経過すると汗や皮脂によって落ちるため、塗り直しも大切です。これらのステップを踏むことで、顔を紫外線からしっかりと守ることができます。
首周りの日焼け止めの塗り方・ポイント |
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首の後ろやデコルテは、意識しないと日焼け止めを塗り忘れしがちな部位なので、注意しましょう。特に首は年齢が現れやすい場所なので、十分な紫外線対策が必要です。
ボディの日焼け止めの塗り方・ポイント |
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ボディに日焼け止めを塗る際に忘れやすい部位は、手や足の甲、指の間、ひざやももの裏、体の側面などです。
また、日焼けをしっかりと防止したいときは、日焼け止めの白浮きやベタつきを避けるために薄く伸ばすのではなく、適切な量を適切な量を均一にムラなく塗ることが大切です。ボディの場合は、指先だけで塗るとムラができやすくなります。手のひら全体を使って広範囲に塗り広げましょう。
ボディは塗る範囲が広いので、一度全体を塗った後、重ね塗りを行うと効果的です。特に、海水浴やプールなどで日中肌を露出する際は、普段よりも多めに日焼け止めを塗り、入念な日焼け対策を行いましょう。
日焼け止めを正しく使用するためには、適切な量の日焼け止めを使用する以外にも、いくつかの重要なポイントがあります。
・日焼け止めは均等に塗ることが大切 |
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顔に塗る場合は、指の腹を使って均一になるように塗りましょう。手のひらだけで塗ると日焼け止めが手のひらに残り、顔に行き渡りにくくなるため注意が必要です。 また、耳、首周り、袖周り、うなじ、腕の後ろなど、塗り忘れが多い部位にも注意しましょう。肌に強く押し付けるような塗り方は避け、優しく広げることが大切です。 |
・スキンケアで肌をしっかりと保湿した後に日焼け止めを塗る |
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肌が乾燥していると、日焼け止めのノリが悪くなり、ムラになりやすくなります。保湿された肌は柔らかく滑らかであるため、日焼け止めが肌に均等に広がりやすいでしょう。 他にも、日焼け止めには、肌を乾燥させる成分が含まれていることがあります。肌を最初にしっかりと保湿することで、日焼け止めの成分由来の乾燥を防ぎ、肌の健康を維持しやすくなります。 |
・2~3時間ごとに塗り直す |
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日焼け止めは皮膚の上にあることで、はじめて効果を発揮します。汗をかいたり、ハンカチなどで触ったりした際には、日焼け止めも落ちてしまうことが多いです。2~3時間を目安に定期的に塗り直すことで、効果を維持できます。 |
・自分の肌質や活動環境に合わせて適切な日焼け止めを選ぶ |
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日焼け止めの塗り方とは異なりますが、自分に合った種類の日焼け止めを選ぶことは、そもそもの前提として、とても大切です。 例えば、日常的な使用にはSPF15~30、PA++程度で十分かもしれませんが、屋外で長時間過ごす場合や海や山などのレジャー時には、SPF30以上、PA+++以上の製品が適しているでしょう。また、水辺やスポーツなど汗をかく環境で使用する場合は、防水・耐水性のある日焼け止めが適しています。ただし、防水性の強い日焼け止めは落としにくいので、しっかりとクレンジングをする必要があります。 敏感肌の方は、アルコールフリー、香料フリー、鉱物油フリーなど、肌に優しい成分で作られた日焼け止めを選ぶことも大切です。他にも、海で遊ぶ場合などは、環境への影響を考慮して、海洋生態系に優しいような成分を選ぶのも1つの方法です。 |
これらのポイントを押さえて日焼け止めを使用することで、紫外線から肌をしっかりと守り、日焼けを防ぎやすくなります。
日焼け止めの適量は、リキッドタイプでは1円玉2個分、ジェルタイプやクリームタイプでは パール粒2つ分が目安です。顔の場合は、指の腹を使って細部にわたり均一に塗るように心がけてみてください。耳や首の後ろ、手の甲など、日焼けしやすく塗り忘れがちな部分にも注意が必要です。
また、日焼け止めは時間が経過すると落ちてしまう場合があるので、2~3時間ごとの塗り直しが推奨されます。
日焼け止めは製品によって、ベタつきや白浮き、肌へのなじみやすさなど、実際に使用してみないと分からない特性も多いです。そのため日焼け止めを選ぶ際は、実際に肌に塗ってみて、使用感を確かめることをおすすめします。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。