ほうれい線ができるメカニズムは、肌の老化や表情の癖、表情の繰り返しなどにあります。
加齢で、肌のコラーゲンとエラスチンが減少し、肌の弾力性と保湿力が低下します。これにより、肌はたるみやすくなり、特に動きの多い口元の皮膚が折り重なってほうれい線として現れます。さらに、笑ったり話したりする表情の繰り返しによって、ほうれい線が定着し、より深く、目立つようになります。
当記事では、ほうれい線を改善するために試したいアプローチや、スキンケアのポイントを解説します。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
ほうれい線とは、顔の両側、特に鼻の脇から口角にかけて現れるしわのことです。年齢を重ねるにつれて、皮膚の弾力性が失われ、また顔の筋肉の使い方、表情の癖などによって、より顕著になることがあります。
ほうれい線が深くなると、実際の年齢よりも老けて見えやすくなるため、美容面で気にされる方も多いです。
ほうれい線ができる原因は、主に以下の通りです。
加齢による皮膚の変化 |
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年齢を重ねると、皮膚のコラーゲンとエラスチンの生産が減少します。これらのタンパク質は皮膚の弾力性と構造を維持するのに重要で、コラーゲンとエラスチンの減少は皮膚を薄く・弱くし、しわができやすくなります。 また、顔の脂肪の量が減少して位置が変わることで、皮膚の下支えが少なくなり、ほうれい線が目立ちやすくなります。 |
紫外線の影響 |
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紫外線によるダメージは、コラーゲンとエラスチンの劣化を加速させ、結果として皮膚のたるみやしわが生じやすくなります。 |
表情の繰り返し |
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笑ったり話したりする際に繰り返し使う表情筋の動きは、特定の皮膚領域にストレスをかけ、しわを作り出します。ほうれい線は、特に笑顔や話す動作で顕著になることが多いです。 |
生活習慣 |
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栄養が不足している食事、水分摂取の不足、喫煙、過度のアルコール摂取、不十分な睡眠などは、皮膚の健康を損ないしわの形成を促進する要因になります。 |
遺伝的要因 |
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家族の中でほうれい線が目立つ人が多い場合、遺伝的要因として、自身も同様の傾向を持つ可能性があります。 |
年齢によってほうれい線へのアプローチは異なり、それぞれの年代に応じた改善方法が推奨されます。
若年層では、主に予防的なケアが中心で、ほうれい線の形成を遅らせるために日常のスキンケアと生活習慣の見直しが効果的です。
一方、30代以降では、肌の老化が顕著になるため、コラーゲンやエラスチンの生成を促す成分を含む美容製品の使用や、場合によっては美容医療によるアプローチが必要になってきます。年齢が進むにつれ、肌の基礎構造のサポートだけでなく、筋肉の衰えに対する対策も重要になり、特に40代以降は顔の筋トレや、より積極的な皮膚の再生支援が推奨されます。
ほうれい線の改善を目指したい場合、日々のケアに取り入れたいのが「表情筋のトレーニング」と「顔周りのマッサージ」です。これらのアプローチは、特別な道具や高価な化粧品を必要とせず、自宅で簡単に実践できます。
以下では、表情筋トレーニングの効果や顔周りのマッサージの具体的な方法を詳しく解説します。
ほうれい線ができる原因の1つに、表情筋の衰えがあります。顔の表情筋は手足の筋肉と異なり真皮層に直接ついているため「皮膚の土台」としての役割があることが特徴です。加齢に伴い表情筋が衰えることで皮膚全体を支え切れなくなり、重力によってたるみやほうれい線が引き起こされると考えられています。
ほうれい線を予防するために取り入れたいのが、表情筋のトレーニングです。正しい表情筋トレーニングは、ほうれい線の予防に有効な可能性があります。すでにできたほうれい線をセルフケアで改善することは難しく、誤った表情筋トレーニングはほうれい線が悪化させる恐れがあるため注意が必要です。ほうれい線が気になる方は、ほうれい線を悪化させないための予防措置として表情筋トレーニングを取り入れましょう。
顔周りのマッサージによって顔の血行を促進し、リンパの流れを良くすることで、肌の新陳代謝を活発にし、たるみやしわの原因となる老廃物の排出を助けます。マッサージによって顔の筋肉がリラックスし、ストレスによる表情筋の硬直を和らげられるのもメリットです。
【顔周りのマッサージの方法】
・クレンジングと洗顔 |
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マッサージを始める前に顔の汚れをきれいに落とし、清潔な状態にします。 |
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・温かいタオルで温める |
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温かいタオルを顔に当てて数分間肌を温めます。毛穴が開き血行が良くなります。 |
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・マッサージオイルやクリームを使用する |
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スキンケアオイルやマッサージクリームを手に取り、顔全体に薄く伸ばします。これにより手の滑りが良くなり、肌への刺激を減らします。 |
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・顔の中心から外側へマッサージ |
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指の腹を使って、顔の中心から外側へ向かって優しくマッサージします。額から始めて、頬、顎へと移動し、顔全体をくまなくマッサージします。 |
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・ほうれい線のマッサージ |
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ほうれい線が気になる部分には特に注意を払い、優しく指でたたくようにマッサージします。また、口の周りを円を描くように優しくマッサージするとよいでしょう。 |
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・リンパを流す |
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老廃物の排出を促すため、顔のリンパの流れに沿って耳の下や首の方向へ優しく流すようにマッサージします。 |
マッサージも継続することで少しずつ効果が現れやすくなるため、毎日のスキンケアルーティンに組み込むことをおすすめします。また、マッサージは清潔な手で行うことが重要です。手が汚れていると、肌トラブルの原因になりかねません。
最後に、ほうれい線を予防・改善するためのスキンケアのポイントとして「保湿」「紫外線対策」の2つについて詳しく解説します。基本的な内容ですが、自分が日々実践できているかを確認してみましょう。
保湿は、ほうれい線の予防および改善において最も基本的かつ重要なスキンケアのポイントです。
肌は自身で水分を保持しようとしますが、年齢とともにその能力は低下します。また、外部環境や生活習慣によっても、肌の水分保持能力に影響が出ます。保湿ケアによって、肌に水分を補給し、その水分が蒸発しないように蓋をすることが目的です。これにより、肌は柔らかく滑らかな状態を保ち、しわやたるみの予防につながります。
反対に、肌の乾燥は皮膚のバリア機能を低下させ、細かなしわやたるみの原因となります。特にほうれい線のような顔の表情に関連するエリアでは、乾燥によるダメージが顕著に現れやすいため、十分な保湿ケアが必要です。
洗顔後の肌は特に乾燥しやすいので、化粧水でたっぷりと水分を補給するようにしてください。水分を補給した後は、乳液やクリームを使って肌表面に蓋をしましょう。
紫外線は肌の老化の大きな原因の1つであり、コラーゲンやエラスチンなどの肌を支える重要な成分の減少を促進します。
これらの成分が減少すると、肌の弾力が失われ、しわやたるみが生じやすくなります。そのため、日常的な紫外線対策は、ほうれい線の形成を遅らせるだけでなく、既にできてしまったほうれい線の状態を改善するのにも役立ちます。
また、紫外線は1年中降り注いでいるので、夏だけでなく、冬場や曇りの日でも紫外線対策を怠らないようにしましょう。また、窓ガラスを通しても紫外線は入ってきます。室内や車内にいる際も、日焼け止めの使用を心がけましょう。
日焼け止めを選ぶ際は、肌に優しい成分のものを選び、肌への負担を最小限に抑えることが大切です。
ほうれい線を改善するためのアプローチとスキンケア方法には、表情筋トレーニング、顔周りのマッサージ、保湿、紫外線対策があります。表情筋トレーニングでは、顔の筋肉を意識的に動かすことで肌を引き締め、ほうれい線の目立たない肌へアプローチします。
また、顔周りのマッサージは血行を促進し、肌に栄養を行き渡らせる効果が期待できます。肌の保湿は、乾燥が引き起こす細かな線の予防と改善に不可欠です。うるおいのある肌は、ほうれい線を目立たなくさせます。
最後に、紫外線対策は肌の老化を防ぎ、既存のほうれい線の悪化を避けるために重要です。これらの方法を組み合わせることで、ほうれい線の予防と改善に総合的にアプローチでき、より若々しい肌を目指せるでしょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。