肌のターンオーバーは、皮膚の健康と美しさを保つ上で非常に重要です。ターンオーバーは、主に表皮で起こりますが、皮膚の再生には真皮も関わっています。
ターンオーバーの周期が乱れると、肌トラブルの原因になります。周期が遅れると、古い角質が溜まりやすくなり、肌荒れやくすみ、ニキビなどのトラブルが起こりやすくなるでしょう。一方で、ターンオーバーの周期が過剰に早いと、肌が敏感になり、外部刺激に対して弱くなることもあるので注意が必要です。
当記事では、ターンオーバーが乱れる原因や、ターンオーバーを促進・整えるために意識したいポイントなどを解説します。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
肌のターンオーバーとは、皮膚が自己再生する過程のことで、古い角質が自然に剥がれ落ち新しい細胞に生まれ変わるサイクルのことです。表皮の最も内側に位置する基底層で新たに生まれた細胞が、徐々に表皮の外側へと移動し、最終的には外側の角質層へと到達します。
基底層で生まれた細胞は、成熟していく過程でさまざまな変化を遂げ、角質層で死んだ細胞となり、やがては垢として自然に剥がれ落ちます。肌の健康を維持し、古い細胞や不純物を取り除き、新しい細胞で肌を再生させるために不可欠なサイクルです。
健康な肌では、このプロセスが約4週間で一巡します。ターンオーバーの周期が乱れると、肌荒れが発生しやすくなるため、バランスの取れた生活と適切なスキンケアが重要です。
肌のターンオーバーが乱れる原因は多岐にわたりますが、主に生活習慣の乱れや外部からのダメージに起因します。健康な肌のターンオーバーは、以下のように適切な睡眠、栄養バランスの取れた食事、ストレス管理などによって支えられています。
【ターンオーバーが乱れる原因の例】
これらの因子が組み合わさることで、肌のターンオーバーが乱れ、さまざまな肌トラブルが引き起こされます。
ターンオーバーは、体内の細胞や組織が新しく生まれ変わる過程です。健康や美容の分野でよく耳にする言葉ですが、このプロセスを促進するよりも、まずはターンオーバーを整えることが重要とされています。その理由として、過剰なターンオーバー促進は、時に肌トラブルや体の不調を引き起こす可能性があるためです。
ターンオーバーを整えることで、体は自然なリズムで細胞の更新を行うことができ、健康的な肌や体を維持しやすくなります。
ターンオーバーを整え、健康的な肌を維持するためには、日常生活の中でいくつかの重要なポイントを意識することが大切です。以下で紹介する5つの項目をぜひチェックしてみてください。
健康的な食事習慣で、適切な栄養素を摂取することは、細胞の健康を維持し、体内での新陳代謝をサポートする基礎となります。特に、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、タンパク質などは、肌の再生や修復に欠かせない栄養素です。
例えば、ビタミンAは皮膚の健康を維持し、ビタミンCはコラーゲンの生成を促進、ビタミンEは細胞の酸化を防ぎます。亜鉛は細胞分裂に必要で、タンパク質は細胞の主要な構成要素であり、新しい細胞を作るために不可欠です。
また、過剰な糖質や脂質の摂取は避け、全体的な食生活のバランスにも気を配ることが重要です。
適度な運動は血行を良くし、酸素や栄養素が体内の細胞に効率良く届けられるようになるため、細胞の新陳代謝を活性化させやすくなります。運動による発汗は毛穴の汚れを洗い流し、肌の呼吸を促進する効果もあります。また、運動後は副交感神経が優位になり、リラックス効果が得られるため、ストレスによる肌トラブルの軽減にもつながるでしょう。
さらに、運動は睡眠の質を向上させることが一般的に知られており、質の高い睡眠はターンオーバーの正常化に必要不可欠です。
しかし、過度な運動には注意が必要で、特に肌にとっては、適度な有酸素運動が推奨されます。ウォーキングやジョギング、水泳など、自身の体力や好みに合わせた運動を定期的に行うことで、ターンオーバーを自然に促進し、健康で美しい肌を保つことができます。
健康なターンオーバーを保つためには、日々の生活の中で質の良い睡眠を確保することが大切です。
睡眠中は身体が回復し、細胞の修復や再生が活発に行われるため、質の良い睡眠を確保することがターンオーバーの正常化に直接的につながります。特に、深い睡眠(ノンレム睡眠)の間に成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは皮膚細胞の再生を促進するため、肌の健康を維持する上で不可欠です。
また、睡眠不足はストレスホルモンの1つであるコルチゾールの過剰分泌を招きます。コルチゾールの分泌バランスが崩れると炎症を抑える機能が正常に働かず、結果としてターンオーバーの乱れにつながります。
理想的な睡眠時間は個人差がありますが、一般的には夜7~9時間程度が推奨されています。睡眠の質を上げるには、寝る前にリラックスする時間を作ること、寝室を快適に整えること、毎日同じ時間に寝る習慣をつけることが大切です。
紫外線は皮膚にダメージを与え、肌の老化を早める大きな要因の1つです。特に、UV-Aは年間を通じて強度が変わらず、雲やガラスを通しても届くため、日常生活においても意識的なケアが必要です。紫外線によるダメージは、皮膚のコラーゲンを破壊し、シワやたるみの原因となるだけでなく、肌のターンオーバー周期を乱し、肌荒れや色素沈着を引き起こす可能性があります。
UVケアの基本は、日焼け止めを適切に使用することです。外出時はもちろん、室内にいる時も日焼け止めを塗る習慣をつけましょう。特に日差しが強い夏場は、SPFとPAが高い製品を選び、2~3時間ごとに塗り直すことが効果的です。また、帽子やサングラス、長袖の衣服を着用し、物理的に紫外線から肌を守ることも効果的です。
肌の水分バランスが崩れると、肌のバリア機能が低下し、乾燥や外部刺激によるダメージを受けやすくなります。これは、肌のターンオーバー周期を乱す大きな原因の1つとなり得ます。正しい保湿ケアにより、肌は柔軟性を保ち、正常なターンオーバーを支える環境を維持できます。
保湿の基本は、洗顔後すぐに化粧水で水分を補給し、乳液やクリームで水分が蒸発しないようにフタをすることです。肌に必要な油分と水分をバランスよく補うことが重要であり、季節や肌の状態に応じて保湿ケアは微調整する必要があります。冬場や乾燥する環境にいる時は、より保湿力の高いスキンケア製品を選び、こまめに保湿ケアを行うことが大切です。
さらに、内側からのケアとして、十分な水分摂取を心がけることも大切です。水分不足は体内からの肌への影響も大きく、肌の乾燥やターンオーバーの乱れにつながります。適切な保湿ケアを行い、内外から肌にうるおいを与えることで、健康的なターンオーバーを促し、美しい肌を保つことができます。
ターンオーバーを整えることは、健康で美しい肌を維持する上で重要です。
反対にターンオーバーの周期が乱れると、肌トラブルの原因になります。例えば、ターンオーバーの周期が遅れると、古い角質が溜まりやすくなり、肌荒れやくすみ、ニキビなどのトラブルが起こりやすくなります。特に年齢を重ねるにつれて、肌の再生能力は低下するため、ターンオーバーの周期が長くなりやすいです。
ターンオーバーを整える方法としては、健康的な食事・適度な運動・質の良い睡眠・紫外線対策・正しいスキンケアなどが挙げられるので、ぜひ一度ご自身の習慣を見直してみてください。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。