汗をかきやすい夏場や、暖房が効いている冬場では、頭皮が脂っぽいと感じるケースがあります。なかには、季節に関係なく、夕方になると頭皮のベタつきが気になるという人もいるかもしれません。頭皮はもともと、身体の他の部位に比べて皮脂の分泌量が多いため、ベタつきやかゆみなど不快な症状が出やすい部位です。
この記事では、頭皮が脂っぽくなる原因や対処法を解説します。
記事の監修者
山口 健
自由診療クリニック院長
美容皮膚科医
頭皮は全身の皮膚と同じ構造をしています。ただし、頭皮は汗腺や皮脂腺の数が他の部位よりも多いため、汗や皮脂の分泌量も多くなっています。
また、頭皮は毛髪で覆われているため、湿気による蒸れや温度の調整が難しいということも覚えておきましょう。頭皮は直接目で見て確認できない部位ということもあり、トラブルに気付きにくいです。
頭皮が脂っぽいときに起こるそれぞれの症状について、詳しく解説します。
頭皮は、皮脂腺の数と、皮脂の分泌量が多い部位です。そのため、皮脂の過剰な分泌や、シャンプー後に皮脂の洗い残しがあると、頭皮のベタつきが発生する原因になります。また、汗をかいたまま放置することも、頭皮や髪の毛のベタつきにつながります。汗をかいたら、なるべく早くタオルやハンカチで拭きましょう。
皮脂が過剰に分泌されたり、洗い残しが多かったりすると、常在菌が繁殖します。常在菌は普段から身体中に存在する細菌です。頭皮の常在菌は、正常な状態だと頭皮環境の悪化を防ぐバリア機能を持ちます。しかし、常在菌のバランスが崩れるとバリア機能が低下し、かゆみ、ベタつき、においなどの頭皮トラブルが起きます。
頭皮のにおいは、皮脂の酸化が原因で発生します。皮脂の分泌や洗い残しが多いと、余分な皮脂を栄養とする雑菌が増殖します。雑菌が増殖することで、皮脂が酸化されて頭皮のにおいを感じやすくなります。また、汗と皮脂が交じり合うと、頭皮からにおいを感じやすくなるので注意が必要です。
フケとは皮膚からはがれた古い角質で、主に乾性・脂性の2種類のフケがあります。乾性のフケは、頭皮の新陳代謝により細かくはがれ落ちた角質です。一方、皮脂の過剰分泌が原因の1つである脂性のフケは、乾性のフケに比べて塊となっているのが特徴です。
皮脂が脂っぽくなるとマラセチア菌というカビの1種が増殖し、ターンオーバーの乱れを招きます。ターンオーバーとは古い肌から新しい肌に生まれ変わるサイクルのことで、ターンオーバーが正常でないとフケが発生します。
続いて、頭皮が脂っぽくなる5つの原因を説明します。皮脂が多いと感じる人は、いずれかに当てはまるかチェックしてみてください。
丁寧なシャンプーができていないと、洗い残した皮脂や汚れが蓄積し、頭皮や髪の毛が脂っぽくなります。しかし、汚れをしっかり落とそうと思って洗いすぎてしまうと、頭皮を乾燥から守るために皮脂の過剰分泌が起きてしまい、脂っぽくなる可能性もあります。
日常的に脂質を多く摂っていると、皮脂の過剰分泌が起きやすくなります。脂身の多いお肉を避けたり、サラダにはノンオイルドレッシングを使ったりするなど工夫をしましょう。特に、ファストフード、スナック菓子、揚げ物は脂質の含有量が多いです。さらに外食は脂質過多になりやすいので注意しましょう。
睡眠不足になると、成長ホルモンの分泌が妨げられます。そうなると、新陳代謝に乱れが生じて頭皮が乾燥し、皮脂の過剰分泌につながります。残業や夜更かしなどは避け、自身に合った睡眠時間を確保できるよう、生活習慣を見直しましょう。
ストレスがたまると自律神経に影響が出て、ホルモンバランスが乱れやすくなり、頭皮がベタつきやすくなります。また、ストレスによって血行不良になると頭皮が乾燥するため、皮脂の過剰分泌にもつながります。
運動不足だと全身の血行不良が起こるため、頭皮も栄養不足になり、乾燥を招きます。頭皮が乾燥すると、水分不足を補うために皮脂の過剰分泌が起こります。また、運動不足によって新陳代謝が下がると古い角質がはがれにくくなり、皮脂がたまります。
さらに汗をかく機会が減ると汗腺の機能が下がり、脂っぽい汗が出ます。老廃物を含んだ汗を放置してしまうと、流れ出るはずだった汚れが頭皮に詰まり、フケやかゆみ、赤みなどの原因になります。
頭皮の脂っぽさを抑える方法について解説します。普段の洗髪方法や食生活などを見直しましょう。
髪の毛を洗う際に皮脂が洗いきれずに残っているのも、反対に洗いすぎるのも頭皮が脂っぽくなる原因になります。シャンプーの前に、38℃程度のぬるま湯で予洗いをしっかり行いましょう。予洗いだけでも汚れの大半は落ちます。髪の長い人は洗髪前にブラッシングするのもおすすめです。
38℃程度のぬるま湯で予洗いをし終えたらシャンプーに移ります。しっかりとシャンプーを泡立て、指の腹を使って頭皮をマッサージするように洗いましょう。爪を立てて洗うと頭皮を傷付けてしまうので注意が必要です。
頭皮全体を洗い終わったら、ぬるめのお湯でしっかりと流しましょう。その後、お好みでリンスやコンディショナーを使用しましょう。リンスやコンディショナーは頭皮につけすぎないよう注意してください。
皮脂の過剰分泌を抑える効果がある、ビタミンCを含む野菜やフルーツを食べるのもおすすめです。特に気をつけることは、脂質の多い食べ物を摂りすぎないこと。インスタント食品、揚げ物、ファストフードは控えて、バランスのよい食事を心がけましょう。
※抗酸化 ビタ ミンに よる脂質酸化反応 の抑制論文調べ
十分な長さの睡眠時間を確保し、睡眠の質の向上も意識しましょう。寝る前にスマートフォンやパソコンなど、ブルーライトを発するものを見ないことが重要です。ブルーライトは、睡眠ホルモンの分泌の妨げになります。間接照明などで部屋の明るさを調整し、目に直接光が当たらないようにするとよいでしょう。
また、寝る前に必ずストレッチや読書など入眠儀式を取り入れることもおすすめです。特にストレッチなどの適度な運動を行うとストレスも発散され、血流の促進も期待できます。
最後に、頭皮が脂っぽい場合の注意点について説明します。すぐに改善できるポイントもあるので、当てはまるものがないか確認してみてください。
頭皮が脂っぽい場合は、洗浄力が強いシャンプーを使用していたり、汚れをしっかり落とそうとして強くこすりすぎたりしている場合があります。必要以上に頭を洗ってしまうと、皮脂の分泌が過剰に増えてしまいます。
低刺激の洗浄成分や保湿成分が配合されているシャンプーがおすすめです。成分表を確認し、自身の肌に合ったシャンプーを選びましょう。
治療が必要なケースで最も多いのが、脂漏性皮膚炎です。脂漏性湿疹ともいわれます。これは、皮膚に常在する真菌の1種であるマラセチアが異常に増殖することで、皮膚に湿疹ができる症状です。赤みやフケ、かゆみなどの症状が出て、抗真菌薬やステロイドによる治療が必要になる場合もあります。症状が続く場合には、皮膚科を受診しましょう。
この記事では、頭皮が脂っぽくなった際の症状、原因、対処法、注意点について解説してきました。頭皮の脂っぽさを防止するためには、適切な洗髪が重要です。また、食生活や生活習慣も頭皮に影響を与えるため、日ごろから注意しましょう。
※医師の記事監修は医学的内容に関する部分のみ行っており、特定の商品についての効果を保証するものではありません。
記事の監修者
山口 健
自由診療クリニック院長
美容皮膚科医
2010年 国立大学医学部卒 市中病院での勤務を経て
2021年 自由診療クリニック 院長就任
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