スキンケアに興味がある方・感度が高い方や、肌をきれいにしたいと思っている方の中には、「美肌菌」という言葉を見聞きしたことがある方もいるのではないでしょうか。美肌菌は肌の水分保持能力を高め、肌荒れや乾燥から保護する効果があり、美しい肌を保つためには、美肌菌を守るようなスキンケアが必要です。
当記事では、美肌菌とは何かといった基礎的な内容から、美肌菌を守るためのスキンケア・日常ケアについてまで、詳しく掘り下げて解説します。
目次
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
美肌菌とは、「表皮ブドウ球菌」に代表される、人の肌に自然に存在し、健康な肌環境を維持するのに役立つ微生物(皮膚常在菌)の総称です。美肌菌という言葉は「表皮ブドウ球菌」を指すことも多いですが、厳密には肌の表面や毛穴、角層に広がり、肌のうるおいやバリア機能を支えるような善玉菌を指します。
美肌菌は肌上の皮脂や汗をエサにして、グリセリンや脂肪酸を生産し、肌をうるおわせ、弱酸性の状態を維持して外部からの有害な菌の繁殖を抑えます。バランスが取れた美肌菌を持つ肌はみずみずしく赤みが少ないなど、健康的な肌になるのが特徴です。一方で、美肌菌のバランスが崩れると、肌のうるおいやバリア機能が低下します。
このように、美肌菌は肌の健康維持や、良好な肌環境を作り出すために不可欠な存在です。
皮膚常在菌は、人間の皮膚上に自然に生息している微生物の総称です。健康な肌の保護や維持に不可欠な役割を果たしています。具体的には、細菌、真菌など、多様な種類があります。
細菌 |
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・表皮ブドウ球菌 健康な肌に最も一般的に見られる細菌の1つで、美肌菌としても知られています。皮膚のバリア機能を支え、悪玉菌の過剰な増殖を防ぐことによって肌の健康を維持します。 ・黄色ブドウ球菌 肌の悪玉菌として知られ、通常は肌に害を及ぼさないものの、傷口や免疫系が弱っている場所に侵入すると感染症を引き起こす可能性があります。 ・アクネ菌 人の皮脂腺に常在する細菌の一種です。日和見菌として知られ、健康な時は善玉菌のように働きますが、肌のバランスを崩すと悪玉菌のような作用をします。特に思春期以降の脂性肌に豊富に存在し、ニキビの形成に大きく関与しています。アクネ菌は、皮脂や死んだ皮膚細胞を栄養源として利用し、増殖することで、毛穴を詰まらせたり、炎症を引き起こしたりします。 |
真菌 |
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・マラセチア属 脂漏性皮膚炎やフケの原因となることがある真菌です。特に皮脂の多い頭皮や顔の一部に好んで生息します。 ・カンジダ属 特定の条件下で過剰に増殖し、感染症を引き起こすことがある真菌です。健康な人の皮膚にも低レベルで存在します。 |
美肌菌は肌の健康を保つ上で欠かせない存在です。美肌菌のバランスを整え、美しい肌を保つためには日々のスキンケアが重要になります。以下では、美肌菌を意識したスキンケアのポイントを3つ紹介します。
美肌菌を守りながら効果的に洗顔をするためには、肌の自然なバリア機能を維持しつつ 汚れや余分な皮脂を取り除くことが重要です。ただし、洗顔由来の乾燥を引き起こさないためにも、洗顔は朝・夜の1日に2回程度までにとどめるようにしましょう。使用する洗顔料は、肌のpHに近い弱酸性のものを選び、肌に優しい成分が含まれていることを確認してください。
洗顔時には、手を清潔にしてから洗顔料を優しく肌にのせ、強くこすらずに軽くマッサージするように洗います。この時、熱すぎるお湯は肌を刺激し、美肌菌にも悪影響を及ぼす可能性があるため、ぬるま湯を使用することが望ましいです。しっかりとすすいだ後は、タオルで優しく水分を拭き取り、肌に必要な保湿を忘れずに行います。
肌への優しさを心がけた洗顔方法を取り入れることで、美肌菌を守りつつ清潔な肌を保てます。
美肌菌を守るためには、肌の保湿が欠かせません。
保湿剤の選択においては、セラミドやヒアルロン酸、グリセリンなど、肌の自然な保湿成分を補い、強化するような成分が含まれた製品を使用するのがおすすめです。肌のうるおいを長時間キープし、美肌菌の生息環境を整えられます。
さらに、季節の変わり目や気候に合わせて保湿ケアを調整することも大切です。乾燥する季節や環境では、より保湿力の高い製品を使うことで肌を守ります。夜間のスキンケアでは、日中のダメージから肌を回復させるために、保湿力が高く栄養成分を含んだ製品を使用するとよいでしょう。
紫外線は、皮膚に与える直接的なダメージとしてシミ、しわ、たるみの原因となることで知られていますが、皮膚の微生物環境、特に美肌菌にも影響を及ぼす可能性があります。紫外線には強力な殺菌効果があり、これが皮膚常在菌に対しても作用するため、美肌菌を含む皮膚の乳酸菌が減少することが示唆されています。
そのため、紫外線対策は美肌菌を守り、肌荒れや老化を防ぐためにも不可欠です。具体的な対策として、まずは自分の肌に合った日焼け止めを選び、外出前には十分な量を肌に塗りましょう。2~3時間ごとに塗り直すことで、紫外線によるダメージをより軽減できます。
また、日焼け止めだけに頼らず、帽子やサングラス、長袖の衣服を着用して物理的に紫外線をカットするのも有効な手段です。さらに、紫外線が強い時間帯(おおよそ10時から14時)は屋外活動を控える、日陰を選んで歩くなど、紫外線への曝露を避ける工夫をすることも大切です。
美しい肌を保つためには、日々の生活習慣を整えることも重要となります。最後に、美肌菌のバランスを保ちながら肌を守るための、日常生活で取り入れやすいポイントをいくつか紹介します。
美肌菌を意識した日常ケアで重要なのは、食事と睡眠です。
栄養バランスの取れた食事は、美肌菌にとって必要な栄養を提供し、肌の健康を支えます。特に、発酵食品に含まれる善玉菌(プロバイオティクス)や食物繊維が豊富な食品は、腸内環境を整え、間接的に肌の常在菌のバランスに良い影響を与えると考えられています。
睡眠は、肌の修復や再生のプロセスが活発に行われる時間です。十分な睡眠を取ることで、肌細胞の新陳代謝が促され、美肌菌が生息しやすい環境が維持されやすくなります。
つまり、バランスの良い食事と質の良い睡眠は、美肌菌を守りながら、肌本来の美しさを支える基盤を作ることに他なりません。日々の生活から意識し、内側から輝く肌を目指しましょう。
美肌を目指す上で、腸内環境を整えることは、外側からのスキンケアと同じくらい、あるいはそれ以上に重要な日常ケアの1つと言えるでしょう。
腸内環境が健康であると、栄養の吸収が良くなり、体内の不要な物質の排出もスムーズに行われます。肌に必要な栄養が効率よく届けられ、老廃物が溜まりにくくなるため、美肌菌の活動にも好影響を与えられます。
腸内環境を整えるためには、発酵食品を積極的に取り入れることがおすすめです。発酵食品には、プロバイオティクスとして知られる善玉菌が豊富に含まれており、これらが腸内フローラを健康な状態に保ちます。
また、食物繊維を豊富に含む野菜や果物、全粒穀物を日々の食事に取り入れることで、腸の動きを活発にし、腸内環境の改善に役立つでしょう。
美肌菌とは、人の肌に自然に存在し、肌の健康を守る役割を持つ皮膚常在菌のことです。これらの菌は、肌のバリア機能をサポートし、有害な外部要因から肌を保護する重要な役割を果たしています。
美肌菌のバランスが保たれている状態では、肌は自然な輝きを放ち、トラブルが少ない健康的な状態を維持しやすくなります。そのためにも、正しいスキンケアや、バランスの取れた食事、十分な睡眠など、外からも中からも対策することが大切です。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。
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