顔のブツブツやザラザラなどの肌荒れは、さまざまな原因によって引き起こされます。
例えば、マスクの長時間の使用は、摩擦や湿気でかゆみやヒリヒリ感を引き起こす場合があります。紫外線の影響で肌がダメージを受け、赤みや肌荒れが生じることもあるでしょう。他にも、ターンオーバーの乱れによって古い角質がたまり、さまざまな皮膚トラブルを引き起こすことがあります。
当記事では、顔のブツブツ・ザラザラの正体は何なのか、顔以外の部位にも起こる症状についても解説します。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
顔のブツブツやザラザラはさまざまな皮膚疾患の症状であり、その原因は多岐にわたります。「鮫肌」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、医学用語ではなく、乾燥や細かなブツブツが特徴の肌状態を指す俗語です。
顔のブツブツ・ザラザラで考えられる症状としては、主に以下のようなものが挙げられます。
ニキビについては、多くの人が悩みやすいものなので、以下でも詳しく解説します。
ニキビは、塞がれた毛穴内で皮脂が過剰に蓄積し、アクネ菌の増殖が促されることによって起こります。毛穴の周囲の組織が炎症を起こし、赤みを帯びた腫れや、時には膿を含んだ状態になります。
コメド(面ぽう)は、ニキビの初期形態であり、毛穴の詰まりが主な特徴です。コメドには2つの形態があります。「開放型コメド」と呼ばれるものは、一般的に「黒ずみ」として知られ、毛穴の開口部が開いていて酸化によって黒く見えます。一方、「閉鎖型コメド」は毛穴の開口部が閉じていて、小さな白い突起として現れます。これらは、「黒ニキビ」「白ニキビ」とも呼ばれます。
顔以外の部位に現れるブツブツやザラザラとした症状は、皮膚疾患や皮膚トラブルによって発生していることがあります。以下では、これらの症状の一般的な原因とそれに伴う対処法について紹介します。
毛包炎(毛嚢炎)は、毛穴の深部にある毛根を取り巻く毛包に生じる炎症のことです。皮膚表面の微小な傷から細菌が侵入し感染を引き起こすことによって発生します。赤みを帯びた発疹や膿を持った発疹が特徴的な症状であり、患部を清潔に保つことが治療の基本となります。また、抗菌薬の使用が効果的です。
毛包炎を引き起こす主な細菌には、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌がありますが、緑膿菌による感染や、皮膚の常在真菌であるマラセチアが原因となることもあります。これらの炎症は、顔だけでなく首、太もも、臀部、陰部付近など身体のどの部分にも発生する可能性があるのが特徴です。特に、ひげ剃りによる微細な切傷から感染することも一般的で、男性のひげ部分においては尋常性毛瘡(じんじょうせいもうそう)とも呼ばれます。
あせも、医学的には「汗疹(かんしん)」と呼ばれる症状は、高温多湿の環境下で汗腺の汗管が詰まり、汗が肌の外に漏れ出したり、細菌が繁殖したりして起こるかゆみや炎症のことです。特に夏場に多く見られます。
子どもでは新陳代謝が活発であるため、首や背中、おしりなどによく見られます。大人の場合、首周りや腕の内側、背中などの蒸れやすい部位に発生しやすい傾向です。肥満や敏感肌の人は特に発症しやすいとされています。
あせもの予防としては、過剰な汗をかかないように心がけ、汗をかいたら速やかに拭き取り、定期的にシャワーを浴びることが有効です。もし症状が改善しない場合は、医療機関を受診することが推奨されます。
稗粒腫(はいりゅうしゅ)は、表皮の下に形成される直径1~2mm程度の白や黄白色の小さな粒状の丘疹であり、見た目が白いニキビに似ています。この症状は、毛穴の奥の毛包に角質がたまることによって生じ、脂肪の塊と間違えられがちですが、実際は角質の塊が白く見えるものです。稗粒腫は顔だけでなく、体のどこにでも現れる可能性がありますが、特に目の周りや鼻先などにできやすいとされています。
加齢による皮膚の新陳代謝の低下、女性や汗をかきやすい人、皮膚を傷つけた後などに発生しやすく、誰にでも起こり得る症状です。痛みやかゆみを伴わず、炎症や膿を持たないため健康上の問題はないものの、美容的な理由で治療を求める人も少なくありません。治療方法としては、表面に細い針で穴を開け内容物を押し出す方法が一般的です。
蕁麻疹は皮膚に突然現れる症状で、赤く盛り上がった膨疹(ぼうしん)が特徴です。蕁麻疹は、その名の由来であるイラクサに触れた際に生じる皮膚反応に似ており、主にかゆみを伴います。チクチクする痛みや焼けるような感じを覚えることもあります。
蕁麻疹の原因もさまざまで、アレルギー反応、物理的刺激、発汗といった特定の刺激が誘因となることがありますが、多くの場合は原因が明確ではありません。大人や子どもを問わず、ストレスや寝不足なども原因となることがあり、症状は一時的に現れたり、何週間にもわたって繰り返したりすることがあります。1か月半以上続く場合は慢性蕁麻疹と呼ばれ、時には数年間持続することもあります。
顔のブツブツやザラザラを予防し、改善するためには、日常のスキンケアが大切です。適切なスキンケアルーティーンを実践することで、肌の健康を保ち、クリアで滑らかな肌を目指せます。
以下では、効果的なスキンケアの基本的なステップと、それぞれの重要性について詳しく解説します。
洗顔を行う際は、肌を摩擦によるダメージから守るために優しく行うことが重要です。強く擦ると肌に刺激を与えて皮脂を過剰に取り除きすぎてしまい、肌のバリア機能を低下させ、乾燥や敏感肌の原因になり得ます。そのため、洗顔料で優しくマッサージするように洗い、ぬるま湯でしっかりとすすぐことが推奨されます。
肌に必要な皮脂を残しつつ、余分な汚れや古い角質を優しく取り除くことが、顔のブツブツやザラザラを予防・改善するための鍵となります。
肌の乾燥は皮脂の過剰分泌を引き起こし、毛穴の詰まりや炎症の原因となり得ます。そのため、洗顔後の肌にしっかりと保湿を行うことは、これらの肌トラブルを予防して肌の健康を保つ上で非常に重要です。保湿には、肌の水分を補給して閉じ込める役割があります。これにより、肌は柔らかく滑らかな状態を保つことができ、外部刺激に対するバリア機能も強化されます。保湿剤を選ぶ際は、肌質に合ったものを選び、特に乾燥しやすい部分には念入りに塗布することが推奨されます。
また、日中も乾燥から肌を守るためには、保湿成分が含まれた日焼け止めや化粧下地の使用が有効です。肌の保湿バランスを整えることで、顔のブツブツやザラザラを予防し、健やかな肌へと導けるでしょう。
顔のブツブツやザラザラの予防と改善には、紫外線(UV)ケアが非常に重要です。紫外線は肌の老化を促進し、肌トラブルの原因となるため、日焼け止めを使用して肌を守ることが必要です。
紫外線によるダメージは肌の乾燥やメラニンの過剰生成を引き起こし、結果として肌のテクスチャーを悪化させる可能性があります。また、紫外線は皮脂の過剰分泌を促すこともあり、毛穴の詰まりや炎症、さらにはニキビの原因となることもあります。毎日のスキンケアルーティーンに日焼け止めを取り入れ、外出時には帽子や日傘を利用するなどして、紫外線から肌を守ることが、ブツブツやザラザラの予防につながります。
特に夏場は紫外線が強いため、SPFとPA値が高い製品を選び、数時間ごとに塗り直して、効果的に肌を保護することが大切です。このようにしてUVケアを徹底すれば、肌の健康を守り美しい肌を保てるでしょう。
顔のブツブツやザラザラは、皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まり、肌の乾燥、紫外線によるダメージなど、さまざまな原因によって引き起こされます。これらの症状の背後には、ホルモンバランスの乱れや不適切なスキンケア、食生活の乱れなどが関与していることが多いです。
対処法としては、まず肌を刺激から守るために、優しい洗顔料での丁寧な洗顔が基本となります。洗顔後は、肌タイプに合った保湿剤を使用して水分バランスを整えることが重要です。
また、紫外線対策として日焼け止めを毎日塗布することも、肌トラブルを防ぐためには欠かせません。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。