髪の毛の健康は、人間の見た目や自信に大きく関わっています。ふとした瞬間にたくさんの抜け毛を見つけてしまい、ショックを受けた経験がある方もいるでしょう。
女性の抜け毛の原因はさまざまです。ホルモンバランスの乱れ、ストレス、食生活の乱れ、不規則な生活など、現代女性はさまざまな要因にさらされています。これらの原因が複雑に絡み合い、抜け毛を悪化させてしまうことがあります。
当記事では、抜け毛の原因を詳しく解説し、ご自身の髪のお悩みに合わせた具体的な対策方法を紹介します。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
抜け毛は、放置すると進行する可能性があります。生活習慣の改善や適切なケアによって、抜け毛を予防したり、進行を遅らせたりするのは不可能ではありません。できる限り早期に対策を始めることが大切です。
以下では、女性の抜け毛の主な原因について解説します。
女性の髪は女性ホルモンの影響を強く受けています。主な女性ホルモンであるエストロゲンは、髪の成長を促し抜け毛を抑制する働きがあります。一方、プロゲステロンは、妊娠中に胎児を育むために必要なホルモンです。
これらのホルモンバランスが崩れると髪の成長サイクルが乱れ、抜け毛が増える場合があります。月経前や月経中に、抜け毛が増えると感じることがある女性も少なくありません。
出産後は女性ホルモンの急激な変化により、多くの女性が抜け毛を経験します。妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが大量に分泌され、髪の成長が促進されます。しかし、出産後はこれらのホルモンが急激に減少するため、成長期が短いままの髪が一気に抜け落ちてしまう仕組みです。
また、更年期になると、女性ホルモンの分泌が低下し、その結果、抜け毛が増えることがあります。
ストレスは、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌を促し女性ホルモンのバランスを崩します。ホルモンバランスの乱れは髪の成長サイクルを乱し、抜け毛を引き起こす恐れがあります。
ストレスの軽減は、抜け毛の予防だけでなく心身の健康維持にもつながるため、適度な運動や趣味に没頭するなど、自分に合ったリラックス方法を見つけて実践しましょう。
シャンプーをするときの摩擦や、洗浄力の強いシャンプーの使用は、頭皮の皮脂を過剰に洗い流し乾燥を引き起こすので注意が必要です。
乾燥した頭皮は、バリア機能が低下してかゆみを伴う炎症を起こしやすくなります。炎症が起こると、毛根を傷つけ、結果的に抜け毛を促進する原因となります。
睡眠中に分泌される成長ホルモンは髪の成長に不可欠です。睡眠不足は成長ホルモンの分泌を抑制し、髪の成長を阻害します。
他にも睡眠不足はストレスを増加させるほか、自律神経のバランスを崩し、頭皮の血行不良を引き起こす恐れもあります。
抜け毛の原因は、生活習慣やホルモンバランスの乱れだけでなく、円形脱毛症やびまん性脱毛症などのさまざまな病気も考えられます。
特に、抜け毛以外の他の症状を伴う場合や、自宅でのケアで改善が見られない場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
髪を健康に保ち、抜け毛を予防するには、まずは毎日のケアが重要です。以下では、抜け毛予防・改善のためにできる具体的なケア方法をいくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
シャンプー前に、髪を優しくブラッシングしてほこりや汚れを落とし、絡まった髪をほどいて、シャンプー時の摩擦を軽減します。頭皮の汚れを浮かせ、シャンプーの泡立ちをよくするため、ぬるま湯で十分に予洗いしましょう。
その後、シャンプーを直接頭皮につけずに、手のひらでよく泡立ててから頭皮につけます。爪を立てずに、指の腹で頭皮を優しくマッサージするように洗い、ぬるま湯でしっかりとすすぎましょう。特に、耳周りや襟足など、洗い残ししやすい部分も丁寧にすすぎます。
毎日シャンプーをする場合は、頭皮への負担を減らすために刺激がマイルドなシャンプーを選びましょう。乾燥肌の人は毎日髪を洗うと頭皮が乾燥しすぎるので、シャンプーの間隔を1日おきに調節する方法もあります。
シャンプーは、乾燥肌、脂性肌、敏感肌など、自分の頭皮の状態に合ったシャンプーを選ぶことが大切です。アミノ酸系やベタイン系の洗浄成分は頭皮への刺激が少ないと言われています。
専門の医療機関に相談した上で、育毛剤の使用も検討するとよいでしょう。
女性用育毛剤は、男性用と比べて、頭皮のデリケートな状態に配慮し、女性ホルモンのバランスに着目した成分が配合されていることが一般的です。育毛剤は、ミノキシジル、センブリエキス、グリチルリチン酸ジカリウムなどが代表的な有効成分とされています。育毛剤を購入する際は、これらの成分が配合されているか確認しましょう。
育毛剤の効果は個人差があり、すぐに実感できるものではないので、根気強く続けることが推奨されています。
頭皮マッサージによって、頭皮の血行促進にアプローチし、毛根に栄養と酸素を供給するのを助けます。リラックス効果も期待でき、ストレス軽減にもつながるでしょう。
髪を洗って頭皮を清潔にし、オイルやローションを塗布するとマッサージがしやすくなります。爪を立てずに、指の腹で頭皮を優しくマッサージしましょう。百会、風池などのツボを指で押すとより効果が期待できます。
百会は、頭のてっぺん、両耳の上の端を結んだ線と鼻の延長線が交わる点です。風池は、後頭部の髪の生え際、首の付け根の少し上にあるくぼみです。
髪の健康は、内側の栄養状態とも密接な関係があります。バランスの取れた食事は、髪に必要な栄養素を補給し、抜け毛予防につながります。
例えばタンパク質は、髪の主成分であるケラチンを構成する成分です。肉類、魚類、卵、大豆製品などに多く含まれています。鉄分は髪に酸素を運ぶ役割があり、不足すると抜け毛の原因になります。レバー、赤身肉、牡蠣、ほうれん草などに多く含まれています。ビタミンCは、鉄分の吸収を促進し、コラーゲンの生成を助けます。柑橘類、いちご、パプリカなどに多く含まれています。
運動することで、全身の血行がよくなり、頭皮への血流もスムーズになります。適度な運動は心身の健康に良い影響を与えるだけでなく、毛根に栄養が行き渡りやすくなるとも言えるでしょう。
また、適度な運動はストレス解消にも効果的です。ストレスは抜け毛の原因の1つとされているので、ストレスをため込まず、運動などにより解消するのが大切です。
生活習慣を整え、喫煙習慣をやめることは、抜け毛予防だけでなくお肌の健康の面でも大切です。
例えばタバコに含まれるニコチンなどの有害物質は、毛細血管を収縮させ、血行を悪くします。また、体内にあるビタミンCの排出を促すため、コラーゲンの生成を阻害し、髪のハリやコシを低下させる要因です。また、ニコチンがメラニン色素の生成を促進し、肌がくすんで見える要因にもなります。
今日からできることから少しずつ始めて、髪にも肌にも健康的な生活を送りましょう。
女性の抜け毛は、ホルモンバランスの変化、ストレス、食生活の乱れなど、さまざまな原因が考えられます。特に、女性ホルモンの変動は、抜け毛に大きく影響を与えるため、出産後や更年期など、ホルモンバランスが大きく変化する時期に抜け毛が増える傾向です。
抜け毛を予防するためにも、髪の主成分であるタンパク質をはじめ、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取しましょう。特に、鉄分、亜鉛、ビタミンB群などは、髪の成長に欠かせない栄養素です。
自宅でのケアだけでは改善が見られない場合は、皮膚科医や美容皮膚科医に相談することも検討しましょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。