シャンプーと一口に言っても、配合される洗浄成分(界面活性剤)によって、さまざまな種類に分かれます。ベタイン系シャンプーもその一つです。ナチュラル志向・オーガニック志向の人を中心に人気があるため、どのようなシャンプーなのか気になっている人もいるでしょう。
当記事では、ベタイン系シャンプーの特徴やメリット・デメリット、正しい選び方、効果的な使い方を説明します。ベタイン系シャンプーが自分に合うかどうか判断したい人は、ぜひ当記事を参考にしてください。
目次
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
ベタイン系シャンプーとは、植物由来の洗浄成分を配合した、マイルドな洗浄力を持つ頭皮や髪に優しいシャンプーです。ヤシ油脂肪酸を使った「コカミドプロピルベタイン」や、「ラウラミドプロピルベタイン」「ココアンホ酢酸Na」「パーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン」が、ベタイン系洗浄成分として挙げられます。
ベタイン系シャンプーは洗浄力が強くないので、ベビーシャンプーやサロン専売品のダメージケアシャンプーにも使用されます。一般的な大人向けのシャンプー商品の場合、他の洗浄成分と組み合わせることが多く、ベタイン系の成分単体で使うことはありません。
ベタイン系シャンプーはアミノ酸系と似た特徴を持ちますが、下記のような違いもあります。また、他のシャンプーとの相違点も知っておきましょう。
アミノ酸系シャンプー | ベタイン系よりは洗浄力が強く、頭皮や髪にうるおいも与えられる |
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タウリン系シャンプー | アミノ酸系よりは適度な洗浄力と泡立ちのよさを持ち、頭皮や髪に優しい |
石鹸系シャンプー | 洗浄力があって刺激は穏やかだが、洗い上がりの髪がきしみやすい |
ラウレス系シャンプー | 強い洗浄力と泡立ちのよさでしっかりと洗えるが、刺激になることもある |
オレフィン系シャンプー | 洗浄力・脱脂力が強く、泡立ちや泡切れがいいが、刺激になることもある |
ベタイン系シャンプーをはじめ、アミノ酸系シャンプーやタウリン系シャンプーは、頭皮や髪への刺激が穏やかな分、洗浄力が弱くなることが特徴です。その一方で、石鹸系シャンプーやラウレス系シャンプー、オレフィン系シャンプーは、確かな洗浄力と泡立ちでしっかりと汚れを洗い落とせます。
ベタイン系シャンプーには、天然成分が使われているからこそのメリットがあります。他のシャンプーと比較したベタイン系シャンプーのメリットは下記の通りです。
<ベタイン系シャンプーのメリット>
ベタイン系シャンプーの大きな特徴は、赤ちゃんのシャンプーにも使えるほど、毛髪や肌への刺激が少ない点です。また、天然の保湿成分も含むため、髪にうるおいを与えることもできます。そのため、ピリピリとした刺激を感じやすい人、乾燥で髪がまとまらない人には、ベタイン系シャンプーがおすすめです。
しかし、ベタイン系シャンプーはメリットばかりではなく、デメリットがあることも念頭に置いておきましょう。
<ベタイン系シャンプーのデメリット>
ベタイン系シャンプーは刺激が少ない=洗浄力が控えめなので、汚れを落としきれない可能性があります。また、成分自体の価格が高く、ベタイン系の成分を配合したシャンプーはやや値が張ります。頭皮や髪が皮脂でべたつきやすい人、スタイリング剤をよく使う人は、ベタイン系シャンプーの洗い上がりに満足できないかもしれません。
ベタイン系の明確な定義はなく、ベタイン系成分が配合されていれば、ベタイン系シャンプーと名乗れます。また、ベタイン系の成分単体では洗浄力が足りないので、他の洗浄成分や補助成分と組み合わせるのが主流です。
髪質だけでなく、普通肌・乾燥肌・脂性肌・敏感肌などの肌質によっても、成分との相性は変わってきます。そのため、ベタイン系シャンプーを選ぶ際は、ベタイン系以外にどのような成分が配合されているのか確認することが大切です。
ここからは、自分に合うベタイン系シャンプーを選ぶポイントを説明します。
ベタイン系以外に含まれる洗浄成分によって、洗い上がりなどは違います。頭皮がデリケートな人、髪のダメージが気になる人は、アミノ酸系の洗浄成分が入ったベタイン系シャンプーを選ぶとよいでしょう。アミノ酸系の洗浄成分は「ココイルグリシンK」「ココイルメチルアラニンNa」「ココイルグルタミン酸Na」などが挙げられます。洗浄力がマイルドで、頭皮や髪に優しいことが特徴です。
アミノ酸系シャンプーの洗浄力や使い心地が物足りなく感じる人、すっきり感や爽快感のある洗い上がりを求める人は、オレフィン系の洗浄成分を組み合わせたタイプが適しています。オレフィン系の洗浄成分は「オレフィン(C14-C16)スルホン酸ナトリウム」などです。汚れだけでなく、頭皮や髪の皮脂もしっかりと洗い落とせます。
頭皮環境が乾燥すると、フケやかゆみなどのトラブルが生じます。また、髪の乾燥はパサつきにつながります。頭皮や髪の乾燥を防ぎたいときは「コラーゲン」「セラミド」「グリセリン」などの保湿成分が配合されているベタイン系シャンプーを使ってみましょう。保水力の高い成分が含まれていれば、頭皮や髪にうるおいが行き渡り、ツヤのある髪を目指すことが可能です。
また、保湿成分には傷んだ髪を補修して、なめらかな質感に整える効果も期待できます。ドライヤーやヘアアイロンの熱、シャンプーやタオルドライの摩擦など、ヘアケアを通して髪はさまざまな刺激を受けて乾燥します。洗浄力の強いシャンプーは髪に必要な水分や油分も洗い落としてしまうので、ダメージケア効果を求める場合は保湿成分入りのベタイン系シャンプーに変えてみましょう。
シリコンは、髪のキューティクルをコーティングする働きを持つ成分です。「ジメチコン」「シクロメチコン」などが、シリコンの成分として挙げられます。シリコンの入ったシャンプーは、ダメージヘアにもツヤを出し、指通りのよいしっとりとまとまる仕上がりになります。しかし、シリコンが頭皮に残るとトラブルにつながる恐れがあります。
そのため、頭皮トラブルや肌トラブルを避けたい場合はノンシリコンのベタイン系シャンプーを選ぶとよいでしょう。ノンシリコンのベタイン系シャンプーは、サラサラ・ふんわりとした軽やかな仕上がりになることが特徴です。刺激を感じやすい人にとっても、ノンシリコンなら安心して使えるでしょう。
洗浄力が穏やかで低刺激のベタイン系シャンプーですが、その使い方は一般のシャンプーと一緒です。
1 | 髪を濡らす前にブラッシングをして、髪のもつれをほどきます。毛の流れに沿って、ブラシが引っかかっても優しくといていきましょう。 |
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2 | 予洗いで頭皮もしっかりと濡らし、ほこりや汚れを洗い落とします。このとき、ゴシゴシとこすらず、優しく丁寧に洗うのがポイントです。 |
3 | シャンプーの適量を手に取り、よく泡立ててから頭皮と髪につけていきます。爪を立てず、指の腹を使って優しく地肌を洗っていきましょう。 |
4 | すすぎ残しがないよう、シャンプーの泡をしっかりと洗い流します。前髪の生え際や耳の後ろ、襟足など、入念にすすぎましょう。 |
そのあとはリンスやトリートメントをして、すぐにドライヤーで乾かしましょう。頭皮や髪に優しいベタイン系シャンプーでも、マッサージをするように頭皮を洗い、泡が残らないようにすみずみまで洗い流すことが重要です。
ベタイン系シャンプーは、ヤシ油脂肪酸などの天然由来の洗浄成分を含み、少ない刺激で優しく頭皮や髪を洗えます。洗浄力が強くないため、アミノ酸系やオレフィン系など他の洗浄成分と組み合わせられるのが一般的です。
「乾燥を防ぐなら保湿成分入りにする」「刺激を少なくするなら無添加にこだわる」など、ベタイン系以外の配合成分に着目すれば、自分の髪質や肌質に合うシャンプーを選びやすくなります。ベタイン系シャンプーで頭皮や髪を優しく洗い、美しくまとまる髪を目指しましょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。