加齢とともにだんだんと濃くなるシミやそばかすは、大人の女性に多い悩みの一つです。ファンデーションなどである程度はカバーできますが、シミのない綺麗な肌には誰もが憧れるでしょう。シミを簡単に消すことはできませんが、これからできるシミを防ぐことは可能です。
当記事では、シミに効く成分の種類と作用、日常で有効なシミ対策について説明します。シミに効く成分を含む化粧品を使えば、シミ予防を図ることができます。「シミを消す方法を知りたい」「シミを薄くしたい」という場合は、どのような美白成分がシミに効くのか把握しておきましょう。
目次
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
基礎化粧品などに使われる成分にはさまざまな種類がありますが、その中でもシミに効くとされるのが「美白有効成分」です。美白有効成分とは、シミの改善が期待できると厚生労働省が承認している成分のことを言います。基本的には「日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ」「メラニンの生成を抑えてシミ・そばかすを防ぐ」と定義され、承認を得ている成分は約20種類あります。
美白有効成分には、下記の3つの効果が期待できます。
シミに効く美白有効成分は、種類によって期待できる効果が違います。そのため、「シミを改善したい」「シミを予防したい」など、目的によって成分を使い分けることが大切です。ここからは、シミに効く美白有効成分の代表的な種類を取り上げ、その作用について説明します。
ナイアシンアミドは、メラノサイトで作られたメラニンが肌表面に移動するのを抑える効果のある成分です。メラニンの移動を抑制することで色素沈着を防ぐ作用が認められています。また、セラミドの合成を促して肌のバリア機能を修復する作用や、コラーゲンの合成でシワを改善する作用もあります。
外部からの刺激を受けにくくなることから、ナイアシンアミドは敏感肌にも使える成分の一つです。シミを防ぎたい人はもちろん、シワ予防などのエイジングケアに取り組みたい人にもぴったりと言えます。なお、ナイアシンアミドはニコチン酸アミドと表示されることもあります。
ビタミンC誘導体は、メラニンの生成抑制作用や還元作用があるため、シミを防いだり薄くしたりする美白効果が期待できる成分です。過酸化脂質を抑えることによる抗酸化作用やコラーゲンの合成による抗シワ作用、アクネ菌の増殖を抑えることによる抗菌作用なども認められています。
そのため、ビタミンC誘導体はエイジングケアに注力したい人、ニキビのない美肌を目指したい人におすすめの成分です。ただし、ピリピリとした刺激を感じやすいので、敏感肌の場合はビタミンC誘導体の濃度に注意する必要があります。
トラネキサム酸は、メラノサイトの活性化に関係するプラスミンの働きを抑制する成分です。プラスミンの働きを抑え、メラノサイトの活性化によるメラニンの過剰な生成も抑制することは、シミの予防につながります。
また、プラスミンの活性を阻害することで炎症を抑える効果もあるため、肌荒れの改善を目的にトラネキサム酸が配合される場合もあります。シミのほか、肌荒れによる赤みを防ぎたい人は、トラネキサム配合の化粧品をチェックするとよいでしょう。
ただし、トラネキサム酸は体内にできた血栓が溶けるのを遅らせる作用があります。ピルなどの血栓症リスクのある薬剤を服用していたり、血栓症の既往歴があったりする方の場合は、トラネキサム酸を使用する前に必ず医師に確認を取ってください。
アルブチンは、メラニンの生成に関わるチロシナーゼの活性を阻害する成分です。メラニンの過剰な生成を抑えられるので、紫外線などが原因のシミを防ぐことができます。刺激性はほとんどなく、通常の使い方なら安全性に大きな問題はないでしょう。
そのため、「シミもケアしたいけど肌の刺激が気になる」という人は、アルブチンを含む化粧品を選ぶことをおすすめします。ただし、即効性はないので、シミ改善の効果を得るには長期的に使い続ける必要があります。
ハイドロキノンは、メラニン細胞(メラノサイト)への毒性を通して、シミ予防作用や、肝斑や炎症の色素沈着を改善する作用が期待される成分です。医師の診断を受けて必要と判断されれば、ハイドロキノンが配合された医薬品のシミ治療薬が処方されることもあります。
ただし、配合量によっては刺激が強くなることから、化粧品には濃度2%以下であれば配合可能とされています。肌の赤みやかぶれ、ヒリヒリとした刺激を感じる場合があるので、敏感肌の人が使用する際は注意が必要です。
プラセンタエキスは、メラニンの産生を抑制する作用のある成分です。プラセンタとは英語で胎盤を意味し、動物の胎盤から取れるエキスがプラセンタエキスです。高圧抽出したものには、角層の水分量を増やし、肌を保湿する作用もあります。
in vitro試験という試験管内での試験では、コラーゲンやエラスチンを増やす作用、ターンオーバーを促進する作用が明らかになっていますが、人の肌への効果はまだ証明されていません。とはいえ、エイジングサインが気になる場合は注目したい成分の一つです。
ただし、プラセンタエキスは豚や馬、羊などの動物のプラセンタを加工して作られます。原料となった動物や、動物性たんぱく質へのアレルギーを起こす方は利用にあたって注意が必要です。また、プラセンタは動物由来の成分を使用しているため、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の感染が起きる可能性を完全に否定できないことから、使用中は輸血や献血ができません。
そのほかにも、シミに効く成分としては、白玉点滴の主成分であるグルタチオンが有名です。
美白有効成分は、基本的には医薬部外品(美白化粧品)に含まれる成分です。しかし、一般化粧品に使われる美容成分にも、シミのケアや美白ケアが期待できるものはあります。
上記の成分は、肌荒れを防ぐ効果が期待できるため、肌荒れの色素沈着が原因となるシミを防ぐ可能性があります。シミと一口に言ってもさまざまな種類があるため、シミの種類や肌悩みに応じて効果的な成分を含む化粧水や美容液、クリームなどのスキンケアを選ぶとよいでしょう。
シミは一度できると簡単には消えません。スキンケアはもちろん、日常生活を通してシミのできにくい環境を作りましょう。
シミ対策は、乾燥肌・混合肌などの肌質を問わず必要です。セルフケアで取り組めるシミ改善策もあるので、できることから始めてみましょう。
シミに効く成分は「美白有効成分」です。シミの原因となるメラニンの生成を抑える効果があるので、ナイアシンアミド・ビタミンC誘導体・トラネキサム酸・アルブチン・ハイドロキノン・プラセンタエキスなどを含む化粧品を選ぶとよいでしょう。
薬用化粧品ではなくても、セラミド・ヒアルロン酸・グリチルリチン酸・ビタミンEなどを含むアイテムはシミのケア効果が期待できます。シミの種類に合わせて効果的な成分を含む化粧品を選び、透明感のある美しい肌を目指しましょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。