シャンプーの主成分は、洗浄成分です。製品にもよりますが、一般的にはシャンプーの約8~9割を洗浄成分が占めると言われています。洗浄成分と一口に言ってもさまざまな種類があるため、自分に合うシャンプーを選ぶには「何の成分が入っているのか」を確認することが大切です。
当記事では、シャンプーの主成分である洗浄成分の種類と特徴、髪や頭皮の健康のために避けたほうがよいシャンプーの成分、シャンプーの成分表の見方を説明します。毎日使うものだからこそ、ヘアケアの一環としてシャンプーの配合成分にもこだわってみましょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
界面活性剤は、シャンプーの洗浄成分として使われる物質です。通常、水と油は混ざりません。しかし、界面活性剤は水と油の両方の性質を持ち、物質の境界(界面)に働きかけて水と油を混ぜ合わせることが可能です。皮脂汚れなどの油とシャワーの水が界面活性剤によって混じり、頭皮や髪の汚れを洗い落とすというのがシャンプーの仕組みです。
シャンプーに使われる界面活性剤は、主に下記の6種類が挙げられます。
洗浄力 | 泡立ち | 刺激性 | |
---|---|---|---|
石鹸系 | ○ | ○ | △ |
ラウレス系 | ◎ | ◎ | △ |
アミノ酸系 | ○ | △ | ◎ |
オレフィン系 | ◎ | ◎ | △ |
タウリン系 | △ | ○ | ◎ |
ベタイン系 | △ | △ | ◎ |
ラウレス系・オレフィン系や洗浄力や泡立ちがよく、アミノ酸系・タウリン系・ベタイン系は刺激が低い傾向にあります。界面活性剤の種類によって洗浄力や泡立ち、刺激性は異なるので、それぞれの特徴を踏まえてシャンプー選びに生かしましょう。
ここからは、シャンプーの洗浄成分である界面活性剤の種類ごとに特徴を解説します。
石鹸系は、頭皮や髪に配慮しながら、クリーミーな泡でしっかりと汚れを洗い落せる洗浄成分です。「石けん素地(高級脂肪酸ナトリウム)」という天然の油脂から作られた界面活性剤を使用しています。洗髪用シャンプーとして当初開発・発売されたのが固形石鹸であることから、古くより使われている洗浄成分の一つです。最近は固形以外に、液体やパウダー、泡立てる必要のない泡タイプも販売されています。
また、防腐剤や香料の入っていないアイテムもあるので、頭皮がべたつきやすい人やアレルギーがある人、化学物質や刺激が気になる人は、石鹸系シャンプーを検討してみましょう。ただし、石鹸系シャンプーは洗浄力が強くアルカリ性で、洗い上がりの髪がきしみやすいのが特徴です。ヘアカラーやパーマを繰り返している場合、頭皮が乾燥しやすい場合はアウトバストリートメントを併用することをおすすめします。
ラウレス系(ラウレス硫酸系)は、高い洗浄力と泡立ちのよさ、さっぱりとした使用感が特徴の洗浄成分です。「ラウレス硫酸Na」「ラウリル硫酸Na」「ラウレス硫酸アンモニウム」などの成分名がラウレス系になり、高級アルコール系と呼ばれることもあります。比較的リーズナブルであるため、市販品の多くがラウレス系の界面活性剤を採用しています。
ラウレス系シャンプーは皮脂汚れやスタイリング剤もしっかりと洗い落とせるので、頭皮のべたつきが気になる場合やヘアワックスなどをよく使う場合に向いているでしょう。香料を含む商品も多く、泡立ちのよさとシャンプーの香りを一緒に楽しむことも可能です。しかし、洗浄力の強さが頭皮や毛髪のダメージ、カラーやパーマの持ちに影響することがあります。
アミノ酸系は、洗浄力は比較的マイルドであるものの、頭皮や髪に優しく保湿もできる点が特徴です。アミノ酸系の表示名称は、洗浄力の強い順に「ココイルグリシンK」「ココイルメチルアラニンNa」「ココイルグルタミン酸Na」などがあります。従来は美容室専用のシャンプーにしか含まれていませんでしたが、最近は市販のアミノ酸系シャンプーも増えています。
アミノ酸系は控えめな泡立ちで補修成分も含むので、頭皮と髪を優しく労わりたい人や毛先のパサつき・ダメージが気になる人は試してみるとよいでしょう。配合成分がシンプルな製品であれば、敏感肌やアトピー肌の人も使いやすいと言えます。ただし、しっかりと頭を洗いたい人にとっては、アミノ酸系シャンプーのマイルドな使い心地は合わないかもしれません。
オレフィン系は、洗浄力・脱脂力が強く、泡立ちや泡切れのよさが特徴の洗浄成分です。「オレフィン(C14-C16)スルホン酸ナトリウム」が表示名称になります。比較的安価で市販のシャンプーによく使われるなど、ラウレス系と特徴が似ていますが、ラウレス系は石油由来なのに対し、オレフィン系は植物由来の界面活性剤です。
そのため、特に肌トラブルはないものの刺激を抑えてしっかりと皮脂も洗い落したい場合は、オレフィン系シャンプーを使ってみるとよいでしょう。頭皮や髪のすっきりとした爽快感を味わいたいとき、暑さやスポーツで汗をよくかいたときにもおすすめです。ただし、汚れや皮脂を洗い落とす力が、かえって頭皮や髪の刺激となる場合があるので、敏感肌や乾燥肌の人が使う際は注意が必要です。
タウリン系は、マイルドな刺激でありながら、適度な洗浄力と泡立ちのよさを持つ洗浄剤です。タウリンはアミノ酸の一種であることから、アミノ酸系に分類される場合もあります。表示名称は「ココイルメチルタウリンNa」「ラウロイルメチルタウリンNa」などです。
アミノ酸系の洗浄力の弱さが気になるときには、きめ細かな泡立ちでさっぱりとした洗い心地のタウリン系シャンプーを検討してみましょう。カラーやパーマの持ちにも働きかける効果があるので、退色が気になるときにもおすすめです。ただし、ラウレス系やオレフィン系ほど洗浄力は強くなく、皮脂汚れやスタイリング剤をしっかり落としたいときには不向きと言えます。
ベタイン系は、洗浄力は強くありませんが、低刺激で弱酸性の洗浄成分です。ヤシ油脂肪酸を使用した「コカミドプロピルベタイン」や「ラウラミドプロピルベタイン」「パーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン」などが、代表的な表示名称です。ベタイン系は刺激の弱さから、ベビーシャンプーやサロン専売品のダメージケアシャンプーにも使われます。
そのため、頭皮や髪への刺激を抑えたい敏感肌の人はベタイン系シャンプーが向いていると言えるでしょう。また、ベタイン系は洗浄力や泡立ちが弱く、一般的なシャンプーの補助剤として使われることもあります。メインの洗浄成分がベタイン系の場合、汚れを落としきれない可能性があるので、皮脂が多い人やスタイリング剤をよく使う人は合わないと感じるかもしれません。
「絶対にNG」というわけではありませんが、髪のパサつきや頭皮の乾燥に関する悩みがある場合は、下記の成分は避けるほうが自分に合うシャンプーを見つけやすいでしょう。
上記の成分は、シャンプーの品質向上を目的に配合されているので、決してNGとは言い切れません。しかし、乾燥しやすい人や刺激に敏感な人には合わないことがあります。そのため、頭皮や髪の乾燥・刺激が気になる場合はノンシリコン・パラベンフリー・着色料不使用のマイルドな洗浄力を持つシャンプーを検討してみるとよいでしょう。
シャンプーのボトルには成分表が記載されています。成分表の見方が分かれば、自分の髪質や肌質に合うシャンプーを選びやすくなるので、確認時のポイントも知っておきましょう。
シャンプーの成分表は、配合成分の多いものから順番に記載されています。つまり、成分表の最初に書かれている成分は他の成分より配合量が多く、成分表の最後に書かれている成分は配合量が少なくなっています。
そのため、シャンプーの配合成分が気になる場合は、成分表示の並び順にも着目してみましょう。ただし、配合量が1%以下の成分は順不同で記載されます。
シャンプーにおける添加物とは、香料・着色料・防腐剤・酸化防止剤・シリコンなどの化学合成添加剤を指します。品質保持などを目的に配合されるため、必ずしも人体に重篤な被害をもたらす危険な物質とは言えません。
しかし、人によっては頭皮や髪に負担となる場合があります。頭皮や髪への刺激を避けたいときは、添加物が成分表の後ろのほうにある、もしくはまったく入っていないシャンプーを選ぶとよいでしょう。
シャンプーはそのほとんどを洗浄成分である界面活性剤が占め、界面活性剤には石鹸系・ラウレス系・アミノ酸系・オレフィン系・タウリン系・ベタイン系などの種類があります。
石鹸系・ラウレス系・オレフィン系は、強い洗浄力と泡立ちのよさで、しっかりと汚れを洗い落とすことが可能です。アミノ酸系・タウリン系・ベタイン系は洗浄力は落ちますが、地肌や髪の毛を優しく労わることができます。
洗浄成分以外にはシリコンや防腐剤などが配合されますが、人によっては刺激を感じる可能性があります。シャンプーの成分表を確認し、髪質や肌質を踏まえて、自分に合う成分を含むシャンプーを検討してみましょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。