冬だけでなく、1年を通して唇の乾燥に悩まされる人は少なくありません。唇が乾くと、つい舐めてしまったり、唇の皮をむいてしまったりと、悪循環に陥りがちです。
唇が乾燥する原因はさまざまです。乾燥した空気や紫外線などの外的要因だけでなく、エアコンの風や口呼吸など、日々の生活習慣も大きく影響していることがあります。
当記事では、唇が乾燥する主な原因と、乾燥を防ぐための具体的なケア方法についてご紹介します。唇の乾燥にお悩みの方はもちろん、唇の乾燥を防ぎたい方もぜひ参考にしてみてください。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
唇の乾燥はさまざまな要因によって引き起こされます。中でも気候の変化や、生活習慣の乱れは影響を与えやすい要素です。特に、寒冷な気候や乾燥した環境は、唇の水分を奪い乾燥を悪化させる主な原因となります。
乾燥した環境が唇を乾燥させるメカニズムを簡単に示すと、以下の通りです。
また、寒さによって血管が収縮すると、唇への血流が悪化します。血流が悪くなると、唇への酸素や栄養分の供給が減り、バリア機能が低下しやすくなるでしょう。
加えて、寒さによって皮脂の分泌が減少すれば、唇の保護膜が薄くなります。皮脂は、唇の水分を保持する役割も果たしているため、皮脂の分泌が減少すると、唇は乾燥しやすくなります。
唇の乾燥は、気候だけでなく、日々の生活習慣によっても引き起こされることがあります。
例えば、睡眠不足になると、唇の細胞の生まれ変わりであるターンオーバーが乱れ、古い角質が蓄積しやすくなります。その結果、バリア機能が低下することで外部刺激から唇を守れなくなり、乾燥しやすくなるでしょう。
また、唇の健康維持には、以下のようにさまざまな栄養素が必要です。
これらの栄養素が不足すると唇のターンオーバーが遅れ、乾燥やひび割れが起こりやすくなります。他にも、口紅やリップグロスに含まれる合成香料や着色料などが唇を刺激し、乾燥を悪化させることもあります。
乾燥した唇は、日常生活で多くの人が経験する悩みの1つです。乾燥の程度や状態によって、さまざまな症状が現れます。以下では、乾燥した唇で一般的に見られやすい症状を紹介します。
乾燥した唇の代表的な症状として、「ひび割れ」と「皮むけ」があります。
ひび割れ |
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皮むけ |
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唇を舐める癖や、無理に皮を剥がす行為も、ひび割れや皮むけを悪化させる原因となります。
口角炎とは、口角(唇の両端)に炎症が起こり、亀裂や腫れ、かさぶたなどができてしまう皮膚疾患です。乾燥した唇の症状の1つとしてよく知られており、痛みを伴うことも多く、日常生活に支障をきたすときもあります。
【口角炎の主な症状】
唇の乾燥以外にも、口呼吸や脱水症状などにより、唾液の分泌量が減ると、口角が乾燥しやすくなり、口角炎の原因となると言われています。
口唇炎は、唇全体が炎症を起こし、荒れてしまう状態です。口角炎は口の両端(口角)にのみ炎症が起こり、亀裂や腫れなどが見られる状態を指しますが、口唇炎は唇全体に炎症が広がり、赤み、腫れ、皮むけ、ひび割れなどが見られるケースを指します。
口唇炎の主な症状は、口角炎とほぼ同様です。口唇炎の原因としては、空気の乾燥、舐める癖、エアコンの風による乾燥などが挙げられます。また、化粧品や食品など、特定の物質へのアレルギー反応が原因で起こることもあります。
唇の乾燥は、適切なケアを行うことで改善できる場合が多いです。原因を特定し、自分に合ったケア方法を見つけるのが大切です。
以下では、唇の乾燥の原因を防ぐために意識したいポイントを4つ紹介します。
唇の乾燥を防ぐためには、顔のスキンケアと同様に、唇に特化したケアを行うことが大切です。唇は皮膚の中でも特に薄く皮脂腺や汗腺も少ない、外部からの刺激を受けやすく乾燥しやすい部位です。そのため、こまめな保湿が何よりも重要です。
保湿をすることで、以下の効果が期待できます。
外出前にリップクリームを塗ることで、乾燥した空気や紫外線から唇を守れます。
体内の水分バランスが崩れると、皮膚のターンオーバーが乱れ、乾燥しやすくなります。水分不足になると、以下のようなことが起こり、唇の乾燥を招きます。
国は、1日にトータルで2.5リットルの水分を摂るようすすめています。この内訳は、食事で1リットル、体内で自然に作られる水分が0.3リットル、飲み水が1.2リットルです。
一度に大量の水を飲むのではなく、こまめに少しずつ飲むようにしましょう。また、入浴や就寝中は自分が汗をかいていることに気付きにくいため、水分が不足しがちになります。入浴後および起床時には意識して水分を摂るのが重要です。
水分補給は、唇の乾燥だけでなく、全身の健康維持にもつながります。
口呼吸は、唇の乾燥に大きく影響を与えます。
【口呼吸が唇を乾燥させる理由】
一方、鼻呼吸には、以下のメリットがあります。
無意識に口呼吸を行っている場合が多いので、意識して鼻呼吸をするように心がけることが大切です。
唾液は、一時的に唇を潤わせますが、すぐに蒸発してしまいます。唾液が蒸発する際に、唇の水分も一緒に奪い取ってしまうため、かえって乾燥を悪化させてしまうメカニズムです。また、唾液には消化酵素が含まれており、唇の薄い皮膚を傷つけ、乾燥を悪化させる可能性があります。
唇が乾燥するとさらに舐めたくなる悪循環に陥ります。リップクリームをこまめに塗ることで唇の乾燥を防ぎ、舐めたいという衝動を抑えやすくなります。
口呼吸や唇を舐める習慣は、唇の乾燥を悪化させる原因の1つです。無意識に口呼吸をしたり、唇を舐めたりする癖がある人は、意識的にやめるようにしてみてください。また、唇の乾燥を防ぐためには、こまめな保湿が大切です。自分に合ったリップクリームを選び、こまめに塗ることを心がけましょう。
唇の乾燥がひどい場合は、市販のリップクリームだけでは改善しないときがあります。その場合は、皮膚科を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。