乾燥した冬の季節や、肌の調子が悪い時に、顔の皮がむけて悩んでいる方も多いのではないでしょうか。また、「化粧ノリが悪く、いつもファンデーションがよれてしまう」といった経験がある場合、もしかすると顔の皮むけが原因の可能性があります。
顔の皮むけは、肌の生まれ変わりであるターンオーバーが乱れると起こりやすくなる、と言われる現象です。
この記事では、顔の皮むけの原因と、ターンオーバーをケアする方法についてご紹介します。
目次
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
顔の皮むけとは、肌の表面にある角質が剥がれ落ちる現象のことです。
顔の皮むけは、肌のターンオーバーと呼ばれる、古い角質が剥がれ落ち、新しい肌に生まれ変わるサイクルが乱れることで起こりやすくなります。ターンオーバーが正常に行われることで、肌は健やかな状態を保っていますが、さまざまな要因によってターンオーバーのサイクルが乱れると、古い角質が剥がれ落ちません。
積み重なった古い角質が乾燥して硬くなると肌は水分を補充できなくなり、皮がむけたり粉をふいたような肌になったりすると言われます。
ターンオーバーとは、肌から古い角質が剥がれ落ち、新しい肌細胞に生まれ変わるサイクルのことです。
ターンオーバーのサイクルが規則正しく行われることで、肌はふっくらとみずみずしく、健康な状態を保ちやすくなります。ターンオーバーの進行ステップは、主に以下の通りです。
1 | 基底層での細胞分裂 |
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肌の奥にある基底層で、新しい細胞が盛んに作られます。 | |
2 | 細胞の移動 |
新しく生まれた細胞は、徐々に皮膚の表面に向かって押し上げられていきます。 | |
3 | 角化 |
表面へと移動してきた細胞は、角化と呼ばれる変化を起こし、硬い角質層を形成します。 | |
4 | 角質の排出 |
古い角質は、自然に剥がれ落ち、新しい肌へと生まれ変わります。 |
角質層は、肌の水分を保持する役割もあります。ターンオーバーが正常に行われることで、肌は潤いを保ち、乾燥を防ぐことができます。
角質層は、外部からの刺激から肌を守るバリアの役割があります。ターンオーバーが乱れると、肌のバリア機能が低下し、肌は外的刺激に弱くなってしまいます。乾燥や外的刺激によって、結果的に肌に炎症が起こりやすくなるでしょう。
また、ターンオーバーが乱れて古い角質が剥がれ落ちずに厚く積み重なると、角質層の細胞から水分が奪われ、肌の水分保持能力が低下して乾燥しやすくなります。結果、肌の表面が剥がれ落ちたり、粉をふいたりするだけでなく、かゆみや炎症を起こします。
顔の皮むけは、ターンオーバーが乱れることで起こる肌トラブルの1つです。
乾燥、紫外線、間違ったスキンケアなど、さまざまな原因が考えられます。顔の皮むけを改善するための1つのアプローチとして、まずはターンオーバーのサイクルを正常に戻すことが大切です。
ここでの乾燥肌とは、肌の水分や皮脂が不足し、潤いが失われた状態のことを指します。
本来、肌には「バリア機能」が備わっています。バリア機能とは天然保湿因子(NMF)、細胞間脂質、皮脂膜の3つが持つ機能の総称です。それぞれの部分は水分を一定に保ち、外部刺激から肌を守っています。しかし、肌が乾燥した状態が続くと、細胞間脂質から水分が失われ、バリア機能が低下します。
肌の水分を保つバリア機能が低下すると、水分が蒸発しやすくなり、さらに乾燥が進んで皮むけが生じやすくなるという悪循環が、乾燥肌が皮むけを悪化させる理由です。
スキンケアがターンオーバーに与える良い影響・悪い影響の両側面を、それぞれ解説します。
良い影響を与えること |
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・十分な保湿 肌に十分な水分を与えることで、角質層の柔らかさを保ち、ターンオーバーをケアします。 ・角質ケア 古い角質を適切に除去することで、新しい細胞の生まれ変わりを促します。 ・紫外線ケア 紫外線や外的刺激から肌を守ることで、ターンオーバーを乱す要因を減らせます。 |
悪い影響を与えること |
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・過度な洗顔 バリア機能を保つために必要な皮脂まで洗い流してしまうと、乾燥が進み、ターンオーバーが乱れます。 ・刺激の強い化粧品 肌に合わない化粧品を使うと、炎症を起こし、ターンオーバーを乱す可能性があります。 ・ゴシゴシこする 肌を強くこすると、角質層を傷つけ、ターンオーバーを乱す恐れがあります。 |
上記のように、間違ったスキンケア・自分に合っていないスキンケアは、ターンオーバーを乱し、皮むけなどの肌トラブルを引き起こす可能性があるので、注意が必要です。
季節や気候の変化も、肌の状態に大きな影響を与えます。
冬の例 |
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夏の例 |
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乾燥や紫外線など、季節ごとの肌トラブルに合わせたスキンケアを行うことで、皮むけを防ぎ、健やかな肌を保ちましょう。
例えば、糖質の摂りすぎは血糖値を急上昇させるため、肌の炎症を悪化させる要因の1つです。脂質の摂取バランスも大切で、良質な脂質は肌の保湿に役立ちますが、過剰摂取はニキビの原因となる場合があります。
また、ストレスなどの要因によってホルモンバランスが乱れると、ターンオーバーにも影響を及ぼします。特に、女性は月経がホルモンバランスに影響を与えるため、月経不順や無月経はニキビや肌荒れといった肌トラブルの原因の1つです。また、女性ホルモンが減少する更年期には、肌の乾燥やシワ、たるみなど、さまざまな肌トラブルが起こりやすくなります。
顔の皮むけは、乾燥や肌のターンオーバーの乱れなどが原因で起こることが多く、見た目の問題だけでなく肌トラブルにつながることがあります。
以下では、顔の皮むけへの対処法と、ターンオーバーをケアするポイントについて詳しく解説します。
皮むけが起こっている肌は、水分が不足し、角質層が硬くなっています。保湿を行うことで、肌に水分を補給し、角質層を柔らかくすることで、皮むけを改善し、肌のバリア機能を回復させることにアプローチできます。
化粧水は、肌に水分を与える方法の1つです。コットンにたっぷり含ませて、優しくパッティングするようにしましょう。ヒアルロン酸やセラミドなどの保湿成分が含まれた化粧水を選ぶとより効果的です。
また、保湿成分がたっぷりのシートマスクを週に数回使用すると、より充実したケアにつながります。
ターンオーバーをケアする生活習慣として、以下のようなポイントに気を付けてみてください。
・規則正しい生活
生活習慣は、ターンオーバーに影響を与えます。規則正しい生活を送り、夜は早めに寝て睡眠時間を確保しましょう。また、バランスの取れた食事の摂取も重要です。「発育のビタミン」と呼ばれるビタミンB2や、アミノ酸の代謝を助けると言われるビタミンB6を豊富に含む食品を選ぶのがおすすめです。
・適度な運動
運動習慣をつけると、体のめぐりが活発になることにくわえて、血行の促進、睡眠の質向上、ストレス解消といった効果も考えられます。健康を維持できる運動習慣の目安として国は、息がはずみ汗をかく程度の運動を、週合計60分継続することを推奨しています。
出典:長寿科学振興財団「ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量」
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
また、喫煙は、肌の老化を早め、ターンオーバーを乱す要因とされるため、できれば避けるのがおすすめです。
乾燥や紫外線、ストレス、睡眠不足、食生活の乱れ、間違ったスキンケアなど、さまざまな要因がターンオーバーを乱し、皮むけを引き起こす場合があります。また、ターンオーバーが乱れると、古い角質が蓄積し、肌が乾燥してバリア機能が低下しやすいです。外部刺激に弱くなり、さらなる肌トラブルにつながる可能性もあるので、注意しましょう。
顔の皮むけを予防・改善するための方法の1つとして、ターンオーバーをケアすることが重要です。具体的には、まずは保湿を徹底し、肌に優しい洗顔を行うことが大切です。また、紫外線対策をしっかり行い、バランスの取れた食事を心がけましょう。十分な睡眠とストレスの軽減も、ターンオーバーをケアする上で欠かせません。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。