髪の毛が細いとペタンとなりやすく、思うようにスタイリングが決まらない状況もめずらしくありません。また、年齢とともに髪が細くなってきたことに悩んでいる人もいるでしょう。髪の細さが気になるときは、生活習慣やヘアケアを見直すと改善できる可能性があります。
当記事では、髪の細い人の特徴から原因、髪の細い人に適した対処法までを解説します。「髪の毛をボリュームアップしたい」「ハリとツヤのある美髪にしたい」と悩んでいる人は、ぜひ最後まで目を通してみてください。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
髪の毛の平均的な太さは0.07~0.08mm程度で、一般的には0.06mm以上の毛髪が硬毛、0.04mm未満の太さの毛髪が軟毛となります。これは男性・女性は問いません。
しかし、髪の太さを自分で正確に測るのは難しく、自身の髪が細いのかどうか判断に迷う人もいるでしょう。下記の特徴に当てはまる場合は、髪が細いと言えます。
髪が細いと1本1本が柔らかくなり、毛束のボリュームが少なくなるので、「猫っ毛」と呼ばれることもあります。ヘアワックスなどを使ったスタイルでも、トップにボリュームが出にくいことが特徴です。そのため、ボリュームの少なさが気になるときは、髪型はパーマヘアなどのボリュームヘアがおすすめです。
生まれつき髪の毛が細かったり、髪の毛が急に細くなったりするのには、さまざまな原因が考えられます。髪の毛の太さは生まれてから一律ではなく、後天的な要因によって変わることも少なくありません。ここからは、髪の毛が細い原因について説明します。
母親や父親などからの遺伝で、もともと細髪の人もいます。髪質のほか、毛根の形も遺伝で受け継がれることがあると言われています。子どもの頃から髪の毛が細く柔らかい場合は、遺伝が関係していると考えられるでしょう。
細い髪の原因が先天性の場合、髪質を劇的に変えるのは困難です。ただし、生まれつき髪の細いことが、抜け毛や薄毛の直接的な原因になるわけではありません。もともとの太さより太くすることは難しくても、ハリやコシを与えれば髪の細さをカバーできる可能性はあります。
年齢とともに頭皮の毛細血管が老化し、血流が滞ることによって、髪の毛が細くなることもあります。髪の毛が健康に生え育つためには、毛髪の元となる毛母細胞に栄養が行き渡らなければなりません。
しかし、頭皮の血流が悪くなり毛母細胞まで栄養が届かないと、髪の成長が妨げられて細くなってしまいます。髪のハリ・コシが低下し、成長期・退行期・休止期から成るヘアサイクル(毛周期)も乱れるので、特に30~40代以降になると「髪が細くなった」と感じることが増えるでしょう。
生活習慣の乱れによって栄養や睡眠が不足することも、髪を細くする原因の一つです。食生活で栄養不足に陥っていると、髪の成長に必要な栄養素が足りず、1本1本の毛がやせ細ります。脂肪分の多い食事ばかりで血行が悪くなることも、髪の健やかな成長を妨げます。
また、喫煙も血管を収縮させる一因です。睡眠不足の場合や睡眠の質が悪い場合は、成長ホルモンが分泌されず、髪が健やかに育ちません。血行が悪くなり、髪の毛が細くなることもあります。
ストレスで頭皮の血行不良・環境悪化が起こることで、髪が細くなるパターンもあります。人間は過度なストレスがかかると交感神経が優位となり、全身の血管が収縮します。頭皮の血行も悪くなるので、健康な髪が育たず細くなってしまいます。
さらに、ストレスで自律神経が乱れると、皮脂腺や汗腺の活動が活発化するのも特徴です。髪の土台となる頭皮環境が悪化して、健康な髪が生えにくくなります。
カラー剤やパーマ剤のダメージによる頭皮や毛髪への負担が、細毛の原因となることも少なくありません。カラー剤やパーマ剤は、キューティクルを剥がしたり毛髪内部の組織を流失させたりして、髪のハリやコシを奪うことがあります。
また、カラーやパーマは繰り返すたびに負担が増大します。ヘアカラーやブリーチ、パーマなどをこまめに施術している場合は、髪が細くなりやすいため注意が必要です。
誤ったヘアケアは頭皮や髪にダメージを与えるので、髪を細くしてしまいます。たとえば、「ブラシで絡んだ毛を無理にほどく」「爪を立ててシャンプーをする」「1日に2回以上洗髪する」「髪を濡れたまま放置する」などは、間違ったヘアケアの代表例です。
また、頭皮の肌質や髪質に合っていない頭皮ケア・ヘアケアも髪を細くする恐れがあります。頭皮と髪のためのケアでも、間違えたやり方を繰り返していると細毛につながってしまいます。
髪が細い原因には遺伝や加齢もありますが、日々の生活習慣やヘアケアも大きく影響します。そのため、髪の細さが気になるときは生活習慣を整え、正しい対策を実践しましょう。ここからは、髪の太さを維持するセルフケア方法を紹介します。
細い髪に悩んでいる場合は、アミノ酸系やベタイン系のシャンプー、ノンシリコンシャンプーがおすすめです。アミノ酸系やベタイン系のシャンプーはいずれも洗浄力が低く、頭皮や髪を労わりながら洗えるのが特徴です。保湿成分が配合されているため、しっとりとした洗い上がりになります。
ノンシリコンシャンプーは、シリコンの入っていないシャンプーを指します。シリコンとは、髪のキューティクルをコーティングする成分です。ダメージヘアでもツヤを出せるのが特徴ですが、頭皮に残るとトラブルになる恐れがあります。その点、ノンシリコンシャンプーは頭皮トラブルのリスクが低く、ふんわりとした仕上がりで髪にボリューム感を与えることができます。
また、シャンプー方法も髪の細さに関係します。シャンプー時は髪を濡らす前にブラッシングをして、髪に付いたホコリやフケなどの汚れを取り除くことがポイントです。引っかかりがあっても無理にブラシを通さず、優しくほどいていきましょう。シャンプーをするときは手のひらで泡立てて、髪ではなく頭皮を指の腹で洗うことを意識すると、摩擦による髪のダメージを低減できます。
頭皮マッサージには、頭皮の血行を促進する効果やリラックス効果があります。頭皮の血流を改善し、髪に栄養が行き届くようになれば太さを維持できる可能性があるので、細い髪に悩んでいる人は1日1回頭皮マッサージを行いましょう。
頭皮マッサージを行うタイミングはシャンプー後で構いません。指の腹をおでこの生え際に当て、指先を揺らしながら後頭部のほうへ移動しましょう。こめかみに小指を置き、耳のラインに沿って残りの指を置いたら、側頭部から頭頂部に向かって少しずつ動かしながらほぐします。拳を作って平らな面を耳の後ろに当て、後頭部から首にかけてほぐしていきましょう。
頭皮マッサージは過度に行う必要はありません。2~3分程度の短時間で問題ないので、気楽に揉んでみるようにしましょう。
自然乾燥はもちろん、水が滴るほど濡れている状態でドライヤーをするのもNGです。髪に熱を当てる時間が長くなるので、頭皮や髪のダメージにつながります。まずはタオルドライをしましょう。タオルドライをするときは髪をこするのではなく、ポンポンとタオルで叩くようにして水分を拭き取ることがポイントです。
ドライヤーは、まず乾きにくい箇所の根元から当てます。髪をかき分けながら、後ろから目に前に向かって根元を乾かしましょう。トップは毛流れと逆の方向に風を当て、根元を立たせるようにして髪を引っ張るのが、ふんわりとしたボリュームを出すコツです。髪全体の80%ほどが乾いたら冷風に切り替え、上から下に向かって風を当てましょう。
細毛と言えるのは0.04mm未満の太さの毛髪ですが、「トップにボリュームが出ない」「髪が柔らかくハリやコシがない」などの特徴に当てはまる場合は髪が細いと言えます。髪の細さは遺伝や年齢も関係しますが、日々の生活習慣やヘアケアが原因で細くなることもあります。
そのため、髪の細さを改善したいときはヘアケアを見直してみましょう。シャンプーを頭皮や髪に優しいアミノ酸系やベタイン系に変えたり、ドライヤーの乾かし方を工夫したりすると、傷みを抑えながら髪の健康を保てます。また、頭皮マッサージも効果的です。自分の髪質に合わせた方法で、毛先までハリとコシのある美しい髪を目指しましょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。