美しい髪を維持するのに欠かせないのが、毎日のヘアケアです。しかし「朝と夜に行うヘアケアの順番は同じでいい?」「ヘアオイルやヘアミルクはどのタイミングで使うべき?」など、ヘアケア商品の正しい順番が分からない人もいるのではないでしょうか。
当記事では、ヘアケアの正しい順番を詳しく解説します。ヘアケアの順序が逆になると、思うような美容効果やダメージケア効果が出ない場合もあります。ヘアケアの正しい順番と、ヘアケアアイテムの正しい使い方を踏まえ、美髪に磨きをかけましょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
ヘアケアの順番は意外に間違えているケースも少なくありません。髪質や毛量は人によって異なり、抱えるダメージや悩みも違いますが、基本的なヘアケアの順番は一緒です。まずは、基本となるヘアケアの正しい順番を押さえておきましょう。
お風呂に入って髪を濡らす前に、まずは下準備として髪をブラッシングしましょう。絡まった髪をほどくのはもちろん、頭皮や髪に付いたホコリやフケ、汚れを落とすことが目的です。ブラシを通して頭皮から分泌された皮脂を毛先まで届けることで、髪のツヤ感をアップする効果、乾燥による抜け毛や切れ毛、枝毛を防ぐ効果も期待できます。
また、頭皮を刺激して血行を促し、頭皮環境を整えることも可能です。ハリやコシのある美しい毛を生やすには、土台となる頭皮環境を健やかに保つ必要があります。頭皮の血流が改善されて健康な毛が生え育つようになれば、白髪が増えにくくなるでしょう。
ブラッシングは、まず毛先のもつれを優しくほどくことから始めます。毛先の絡まりを取ったら、髪の内側を上から下にとかし、最後に髪の外側を上から下に向かってブラシを当てましょう。
髪にお湯をかけて、しっかりと予洗いをしましょう。予洗いで、髪に付着した汚れの約70%を落とせると言われています。余分な汚れを予洗いで落とすことで、シャンプーの使用量が減り、髪の負担を減らすことができます。また、シャンプーの泡立ちもよくなるでしょう。
予洗いはただ髪を濡らすのではなく、頭皮も一緒に洗うことが目的です。指の腹を使い、マッサージをするようにして頭皮を揉み洗いしてください。予洗いにかける時間は、1~3分ほどが目安です。お湯の設定温度は36~38℃にすると、頭皮や髪の乾燥を避けながら、汚れや皮脂を浮かせることができます。
シャンプーの適量を手に取り、手のひらで泡立てます。シャンプーの量は、製品ボトルに記載されている使用量に従います。特に記載のない場合は、ショートなら100円玉硬貨大、ロングなら500円玉硬貨大を基準にするとよいでしょう。
シャンプー時も予洗いと同様、頭皮をマッサージするように指の腹を使って揉みながら洗います。その際、手を前後に動かしたり、左右に動かしたりすると、洗い残しが少なく済みます。フェイスラインやフロント、頭頂部、後頭部はもちろん、耳の後ろや首の後ろの生え際も忘れないように洗いましょう。
なお、シャンプーと一口に言っても、アミノ酸系シャンプーなど、洗浄成分によってさまざまな種類があります。どの洗浄成分やヘアケア成分が使われているかでシャンプーの特徴は異なるので、自分の髪質や悩みに合わせて選ぶことをおすすめします。
頭頂部や生え際、耳の後ろ、襟足など、すすぎ残しがないようにしっかりとシャンプーの泡を洗い流し、髪の水気をしっかりと切ったら、インバストリートメントを塗布します。インバストリートメントとは、洗い流さないタイプのトリートメントのことです。適量を手に取ったら指先まで伸ばし、毛先を中心になじませていきましょう。
基本的に頭皮に付ける必要はありませんが、頭皮ケアもできるタイプなら根元にも塗って構いません。髪全体にトリートメントをなじませたら、目の粗いくしでコーミングします。製品に記載の放置時間を目安に、髪に成分が浸透するまで少し置きましょう。特に記載がない場合は、3~10分程度を目安にします。その際、蒸しタオルで髪を包み込むと、頭皮や髪が温まって浸透効果がアップするでしょう。
インバストリートメントを洗い流す際は、ぬるつきがなくなるまで髪の根元や頭皮にシャワーを当てます。なお、インバストリートメントではなくヘアマスクを使用する場合もこのタイミングで行います。
コンディショナーはインバストリートメントの後です。コンディショナーは髪をコーティングする役割があるため、インバストリートメントより前に使うと成分が浸透しにくくなります。
髪の水気をしっかりと切ったら、コンディショナーの適量を手に取り、まず毛先を中心にたっぷりとなじませます。もう一度コンディショナーを手のひらに広げ、フェイスラインから後頭部に向かって塗布しましょう。2回に分けて付けることが、コンディショナーをムラなくなじませるコツです。
手ぐしでコンディショナーを髪全体に行き渡らせ、1分程度時間を置いたらすすぎます。頭皮にシャワーを当て、ぬるぬるとした感触がなくなるまで洗い流しましょう。
濡れている髪はキューティクルが開いており、ダメージを受けやすい状態です。お風呂から上がったら、タオルドライでなるべく早く水分を拭き取るようにしましょう。タオルドライで髪表面の水分量を減らすことには、ドライヤーの使用時間を減らして熱ダメージを低減するというメリットもあります。
髪の毛を軽く絞って水気を切ったら、髪全体をタオルで覆い、指の腹で揉み込むようにして髪の根元や頭皮を拭きます。髪の中間から毛先までは、タオルで髪を挟み込み、ポンポンと優しく叩きます。タオルに水分を吸収させるイメージで拭き取りましょう。タオルドライは、2~3分程度で終わらせるのが理想です。
タオルドライが終わったら髪全体をブラッシングし、アウトバストリートメントを付けていきます。アウトバストリートメントとは、洗い流さないタイプのトリートメントのことです。ヘアケア用のオイルタイプなどが挙げられます。熱や摩擦、外的刺激のヘアダメージから髪を守るほか、髪内部にうるおいや栄養を与えて傷んだ髪を補修する役割もあります。
適量を手のひらに出したら両手で伸ばしながら温め、顔まわりや毛先を中心に中間部分まで手ぐしで軽く揉み込むように塗布します。その後は髪全体に均一に行き渡るよう、目の粗いくしでコーミングしましょう。
アウトバストリートメントを付けたらすぐにドライヤーで乾かします。まずは強温風で根元から乾かし、次に中間から毛先をブローしましょう。全体の約80%が乾いたら、弱温風に切り替えて、髪をスタイリングするイメージでクセを付けていきます。最後は冷風で髪の毛を整え、ヘアスタイルを固定しましょう。
なお、ドライヤーを使う際は10~15cm程度離すことがポイントです。ずっと同じ場所に風を当て続けるのではなく、小刻みに揺らして髪を動かしながら、上・横・後ろから風を送りましょう。髪を持ち上げて風の通り道を作ると、髪が乾くまでの時間が短くなります。
ヘアケアやスペシャルケアを正しい順番で行っていても、やり方を間違えると髪が傷つく可能性があります。ヘアケアで注意したい髪のダメージの原因には、下記が挙げられます。
熱 | キューティクルは熱に弱く、ドライヤーやヘアアイロンの高温で傷つく恐れがある |
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摩擦 | シャンプーやタオルドライでゴシゴシとこすると、キューティクルが傷む |
また、ヘアケアの順番を間違えると、本来の効果が発揮されないというデメリットが生じます。髪のパサつき・広がり・うねり・頭皮のかゆみやフケなど、さまざまな髪ダメージや頭皮トラブルにもつながりかねません。
ヘアケアの正しい順番は「ブラッシング→予洗い→シャンプー→インバストリートメント→コンディショナー→タオルドライ→アウトバストリートメント→ドライヤー」という流れです。ヘアケアの順番を間違えると、期待通りの効果は得られません。
また、ヘアケア方法が適切でないと、髪が傷つく恐れもあります。「ツヤのあるサラサラの髪にしたい」「頭皮環境を整えて健康な毛を育みたい」「ダメージヘアをケアしたい」「ヘアカラーやパーマの持ちをよくしたい」という場合は、正しい順番と方法でヘアケアを実施し、理想のツヤ髪を目指しましょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。