「年齢を重ねても美肌になるにはどうしたらいい?」「お金をかけずに美肌になるには何をすべき?」という疑問を抱いている人は多いのではないでしょうか。何歳になっても美しい肌には誰もが憧れるもの。美肌になるにはスキンケアはもちろん、日々の生活も関係します。
当記事では、美肌の定義や美肌が損なわれる原因を踏まえ、美肌へ導く生活習慣やスキンケア習慣を説明します。美容医療の治療を受けたり高級化粧品にお金をかけたりしなくても、美肌には近づけます。年齢を重ねているからと諦めず、理想とする綺麗な肌を目指しましょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
一般的に美肌とは、うるおいやハリのある健やかで美しい肌を指します。なめらかでもちもちとした肌に適度な水分があり、血色もツヤもある状態が、美肌と言えます。シミやシワ、毛穴やニキビなどの肌トラブルがないことも美肌の条件の一つです。メイクアップ効果に頼らなくても、すっぴんで美しい状態が理想と言えるでしょう。
肌トラブルや肌荒れが起こる原因は、体の外側における「外的要因」と体の内側における「内的要因」に分けられます。
<外的要因>
・気温
朝晩は寒いのに昼は温かいなど、一日の寒暖差が大きくなると肌に悪影響が及びます。最近の研究では、寒暖差によって肌のバリア機能や保湿機能に関係する酵素が少なくなることが明らかになりました。また、夏は汗で雑菌が増えること、冬は寒さで血行が悪くなることも、美肌を損なう原因になります。
・湿度
肌表面のバリア機能を維持するには、水分と油分のバランスを適切に保つ必要があります。湿度が低下して空気が乾燥すると、肌の水分量が減ってバリア機能が弱まるため、肌が荒れやすくなります。
・紫外線
紫外線は、真皮まで届くUVAと表皮まで届くUVBの2種類があります。UVAは、肌の奥深くまで届くことでシワやたるみを引き起こします。UVBは、日焼けによるシミ・そばかすの原因になります。
<内的要因>
・ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーとは、表皮の一番内側にある基底層で新しい細胞が作られ、それが徐々に表皮の一番外側の角層まで押し上げられて古い細胞が剥がれ落ちる、肌の生まれ変わりのサイクルのことです。基本的に肌は約4週間をかけて入れ替わりますが、周期が早すぎると肌細胞が未熟でバリア機能が働かず、反対に遅すぎると古い細胞が剥がれ落ちず肌に残ってしまいます。
・ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが崩れると皮脂が過剰に分泌され、肌が荒れやすくなります。生理前は特にホルモンバランスが変動しやすく、肌の状態が不安定になります。
・内蔵の健康の乱れ
腎臓や胃腸などの内蔵の健康が乱れると正しく機能せず、老廃物がうまく排出されません。内蔵の不調は肌荒れとして現れ、美肌を損ないます。
美肌になるには、外的要因による影響に備えることも大切ですが、内的要因で肌の健康を維持する働きが乱れないようインナーケアすることが重要なポイントとなります。
10代や20代の頃は細胞の動きが活発で、美肌成分も順調に生成されます。しかし、年齢を重ねると美肌成分の生成量は低下し、ターンオーバーの周期も長くなるため、肌悩みが増えてきます。生活習慣の乱れは、ターンオーバーやホルモンバランス、内蔵の乱れを引き起こす要因の一つです。ここからは、美肌効果が期待できる生活習慣のポイントを4つ紹介します。
肌は、毎日口にする食べ物の栄養素から作られます。たんぱく質・ビタミンC・ビタミンE・ビタミンB群・鉄分など、食事には皮膚の構成や代謝に関わる栄養素をバランスよく含むようにしましょう。欠食や外食はなるべく避け、野菜や果物を中心とした食事を1日3回取るのが理想です。
また、水分も体の健康を維持するのに欠かせません。水の必要摂取量は体重や運動量などによって異なるので一概には言えませんが、1日1.5~2.5リットルを目安に飲むとよいでしょう。コップ1杯分をこまめに飲むようにすると、水分不足を防げます。
定期的に体を動かすことも、美肌を作るのには重要です。運動を通して基礎代謝が上がれば、正常な新陳代謝を促し、肌を健やかな状態に保てます。また、血行がよくなることで、肌に必要な栄養素が行き届く効果も期待できます。
適度と言える運動量の目安は「息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上」です。ウォーキングやランニングなどの有酸素運動を中心とした運動習慣を身に付けましょう。運動する時間が取れないときは「1駅分を歩く」「エレベーターではなく階段を使う」「ストレッチをする」というレベルでも問題ありません。
美肌を育てるなら寝不足はNGです。とはいえ、就寝時間を極端に早めたり睡眠時間を過度に長くしたりする必要はなく、良質な睡眠を取ることがポイントです。深く眠ることができれば、美肌につながる成長ホルモンが就寝中に分泌されます。
寝入りをスムーズにしたいときは、就寝直前にテレビやスマートフォンの画面を見るなど、脳が興奮する行為は避けましょう。カフェインを含む飲み物は就寝の5~6時間前から控え、入浴は就寝の2~3時間前にすると、リラックスして眠れるようになります。
夏場はシャワーだけで済ませる人が多いかもしれませんが、ゆっくりとお風呂に浸かる入浴法のほうが美肌には有効です。湯船に浸かることには、血行を促進する効果や新陳代謝を活発にする効果、リラックス効果、疲労回復効果があります。
ただし、熱いお湯は保湿成分を流出させ、肌の乾燥を悪化させる可能性があります。38~40℃のぬるめに設定し、20分以内を目安に湯船に入るとよいでしょう。
美肌を作るには、正しいスキンケアが欠かせません。クレンジング剤や洗顔剤で汚れを落としたら、化粧水や乳液で肌のコンディションを整えましょう。間違ったセルフケアは、かえって肌トラブルを引き起こす恐れがあります。ここからは、美肌につながるスキンケアのコツを解説します。
朝と夜のデイリーケアと、週1~2回のスペシャルケアが、美肌の基本となるスキンケアです。朝のスキンケアには就寝中に肌に付着した皮脂や汗の汚れを落とす目的があるので、水洗いだけで済ませず洗顔料を使いましょう。化粧水と乳液でしっかりと保湿をしたら、最後に日焼け止めを塗って紫外線を防ぎます。首筋やデコルテにも塗布しましょう。
夜のスキンケアは昼間にダメージを受けた肌をケアし、メイクや皮脂などの汚れを落とすことが目的ですが、肌を強くこするのは刺激になるのでNGです。また、夜は化粧水と乳液だけでなく、美容液をプラスするのがおすすめです。
デイリーケアでは補えない成分をプラスして肌本来の力を引き出し、肌悩みを解消することが、スペシャルケアの目的です。乾燥には導入美容液を使う、角栓の毛穴詰まりには酵素洗顔を使うなど、肌の状態に合わせたスペシャルケアを取り入れましょう。
年齢によって肌の状態は違います。「若い頃はテカりに悩んでいたのに、30代になってからたるみが気になるようになった」など、肌トラブルの内容が変わるのはめずらしくありません。そのため、美肌を作る上では年齢に応じたエイジングケアも必要です。
また、肌質も人それぞれです。普通肌・脂性肌・乾燥肌・敏感肌・混合肌など、肌タイプは肌の水分量と皮脂量によって区分され、適する基礎化粧品も違います。年齢には対応していても、肌質が合っていないと肌トラブルにつながる可能性があるので、総合的な観点から自分に合うスキンケア化粧品を使うようにしましょう。
紫外線対策を徹底するなら、日焼け止めは必須です。日焼け止めにおいて、UVBを防ぐ能力を示したのが「SPF」、UVAを防ぐ能力を示したのが「PA」です。
また、SPFとPAの数値以外にも日焼け止めにはさまざまな種類があります。たとえば、サラッとした付け心地を求めるならジェルタイプ、肌に水分と油分を与えたいならミルクタイプがおすすめです。海などのレジャーに行くときはウォータープルーフにするなど、シーンに応じて使い分けるとよいでしょう。
日焼け止めは、少し多いと感じるくらいが適量です。顔や体にムラができないように塗り、2~3時間おきに塗り直しましょう。首の後ろや耳も焼けやすいので、塗り残しがないように注意してください。
美肌とは、水分と油分のバランスが保たれ、肌トラブルが見られない肌を指します。肌トラブルを防止して美肌を目指すには、健康的な生活習慣と正しいスキンケア方法を身に付ける必要があります。
まずは、食事・運動・睡眠・入浴の仕方を見直してみましょう。また、年齢や肌質、肌悩みに合わせたアイテムを使い、朝と夜のスキンケアと週に1~2回のスペシャルケアに取り組むことが美肌の近道です。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。