頭頂部などにぴょんぴょんと出てくる「浮き毛」は、アホ毛と呼ばれることもあります。少しであれば気になりませんが、浮き毛がひどいと朝せっかくスタイリングをしても髪が立ち上がり、ヘアスタイルが決まらないこともあるでしょう。「湿気が多いと目立つようになる」など、浮き毛に関する悩みを持つ女性は多いのではないでしょうか。
当記事では、ひどい浮き毛が発生する原因や、ひどい浮き毛の直し方と予防法を説明します。ひどい浮き毛は、縮毛矯正をしなくても家にあるスタイリング剤でサッと直すこともできますが、あくまでも一時的です。原因や毛質を踏まえて適切なアホ毛対策を講じ、浮き毛を予防しましょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
浮き毛とは、周囲の髪からぴょんと立ち上がる毛を指します。頭頂部や分け目などに出るので、浮き毛がひどいと目立ってしまうのが難点です。ひどい浮き毛が発生するのは、主に4つの原因が考えられます。
髪がまだ伸びている途中で周囲より短いために、ぴょんと立ち上がる浮き毛になることがあります。髪はずっと伸び続けるわけではなく、ヘアサイクル(毛周期)を繰り返して生え変わります。
ヘアサイクルとは、髪が生えて抜け、再び生える周期のことです。髪がどんどん伸びる「成長期」、髪の成長が遅くなる「退行期」、完全に髪の成長が止まる「休止期」の3段階に分かれます。同じ長さに見えても、成長期の初期段階にある髪の毛は他より短いので、ピンと飛び出やすくなります。
途中で切れて短くなった「切れ毛」が、浮き毛として現れているパターンもあります。髪は、一番外側からキューティクル・コルテックス・メデュラという3層構造です。ダメージが蓄積されて髪内部のキューティクルが剥がれたりめくれたりすると、髪がもろくなって途中で切れやすくなります。
切れ毛につながるダメージには、カラーやパーマによる薬剤の影響、ドライヤーやアイロンの熱、ブラシやタオルによる摩擦などが挙げられます。紫外線や静電気も切れ毛になる原因です。
加齢とともに髪がうねりやすくなり、うねった髪が周囲から飛び出して浮き毛になるケースも少なくありません。頭皮は、年齢が上がるにつれて薄く硬く動きにくくなります。通常、きれいな毛穴から生えてくるのは、まっすぐに伸びる髪です。しかし、頭皮の筋肉が衰えて毛根を囲む毛穴がゆがむと、うねりやすい髪が生えます。
また、加齢で髪自体も細くなり、ハリやコシが低下するので、うねりのあるくせ毛になります。一般的には30代から徐々にうねった髪が増え、40代になるとハリ・コシのない細い髪に変わる傾向にあります。
髪の毛の水分が不足しているために、静電気で髪が立ち上がりやすくなることも、浮き毛がひどくなる原因の一つです。髪の毛は乾燥すると広がりやすく、まとまりのない状態になります。さらに静電気の影響を受けると、短い毛がぴょんと目立ちやすくなります。
髪が乾燥するのは、熱や摩擦のダメージなどが主な原因です。髪の毛のキューティクルは濡れると開く性質があり、その状態でダメージを受けるとキューティクルが剥がれ、髪のパサつきにつながります。濡れたままの髪を放置することも、キューティクルから水分が抜ける原因になるので、自然乾燥はNGです。
ぴょんぴょんと飛び出る頭頂部の浮き毛は非常に目立つので、特に忙しい朝は自宅でサッと手軽に直したいもの。そんなときに活躍するのが、下記のヘアアイテムです。
・マスカラ型のスタイリング剤
マスカラのようなブラシにスタイリング剤が付いているので、髪を軽くとくだけで1本1本キャッチし、ツヤを出しながら浮き毛を抑えられます。白くなりにくいクリアタイプや、根元の白髪をカバーできる色付きタイプもあります。外出先に持ち運ぶのにも便利です。
・スティック型のスタイリング剤
バームがスティック状になっているので、髪の表面をなでるようにして使うと浮き毛を改善できます。頭頂部の分け目だけでなく、サイドや後頭部にも使えるので、ポニーテールなどのアップスタイルにヘアアレンジするときにもおすすめです。
・ヘアオイル
髪に濡れ感や毛束感を出しながら、浮き毛を抑えることが可能です。保湿成分や補修成分が入っているトリートメントとしても使えるタイプなら、髪を優しくケアできます。たっぷり付けるとペタッとしてしまうので、使用量には気を付けましょう。
ヘアワックスやヘアスプレーなど、最近は浮き毛を抑えるのに役立つヘアアイテムが多数販売されています。使い方や仕上がりや個々のアイテムによって異なるので、自分に合うアイテムを比較検討しましょう。
日常的に浮き毛がひどいと、朝のスタイリングに時間がかかってしまいます。また、ダメージや加齢、乾燥が原因で浮き毛が発生している場合は、そのままにしていると頭皮や髪の健康を損なう可能性があります。浮き毛の原因は1つとは限らないので、さまざまな対策方法を取り入れて総合的に予防しましょう。
ヘアサイクルが乱れると髪が十分に育たず、短く細い浮き毛になります。過度な飲酒や喫煙、睡眠不足、栄養不足などの生活の乱れは、ヘアサイクルの乱れにもつながります。そのため、規則正しい生活を心がけましょう。
・禁煙・禁酒をする
過度な飲酒は亜鉛を、喫煙はビタミンB・ビタミンCなどを消費します。いずれも髪の生成に必要となる栄養素なので、飲酒は控えるか禁酒、また禁煙しましょう。
・質の高い睡眠を取る
髪の毛の成長ホルモンは、睡眠中に分泌されると言われています。睡眠不足は頭皮の血行不良を招くので、入眠しやすい環境を整えて良質な睡眠を取りましょう。
・バランスよく食事をする
髪の生育には、たんぱく質・ビタミン・ミネラルが欠かせません。これらの栄養素を中心にバランスの整った食生活を送ることで、ヘアサイクルの正常化を図れるでしょう。
切れ毛は生活習慣や食生活の見直しも有効ですが、主に髪のダメージが原因となるので、髪を傷つけないヘアケアを取り入れましょう。
・ブラッシング時は毛先から優しくとく
もつれている髪をブラシで無理に引っ張ると、髪が切れやすくなります。ブラシは根元からではなく毛先からとき始め、引っかかりがあったら手で絡まりをほぐしましょう。ブラシは静電気の心配がない動物の毛を使用したブラシや木製のブラシがおすすめです。
・シャンプー時は予洗いと泡立てをしっかりする
毛髪をゴシゴシこするとキューティクルが剥がれ、切れ毛につながります。シャンプーの泡立ちがよくなるよう十分に予洗いをし、しっかりと泡立ててから指の腹で丁寧に地肌を洗っていきましょう。
・洗浄力がマイルドなシャンプーを使う
シャンプーは洗浄成分によって洗浄力が変わります。ヘアダメージが気になるときは、洗浄力の穏やかなアミノ酸系シャンプー・ベタイン系シャンプーがおすすめです。
生活習慣の見直しや正しいヘアケアのほか、頭皮マッサージで頭皮環境を整えると、健康な髪の生える土台を作ることが可能です。下記のどちらかの方法を1日1回取り入れてみましょう。
・シャンプー時に頭皮マッサージをする
こめかみより少し上に手のひらを当て、ぐるぐると回しながら頭頂部までほぐしましょう。生え際から後頭部は、指の腹でもみほぐします。
・入浴時に頭皮マッサージをする
湯船に浸かると体が温まることで毛穴が広がり、マッサージ効果のアップが期待できます。人差し指・中指・薬指を使い、側頭部や前頭部を上下に動かしてもみほぐしましょう。
ドライヤーなどを使うとどうしても髪の毛は乾燥するので、うるおいを与えるヘアケアアイテムをプラスしましょう。
・アウトバストリートメントやヘアオイルを使う
ドライヤーの熱から髪を守るために、アウトバストリートメントやヘアオイルを塗ってから乾かしましょう。根元からスピーディーに乾かすことも、乾燥対策になります。
・ナイトキャップを付けて寝る
寝返りをしたときにまくらで髪がこすれると摩擦ダメージを受けます。ナイトキャップは摩擦を減らすほか、髪の乾燥も防いでくれます。
・髪用の日焼け止めスプレーを使う
紫外線も髪を乾燥させる要素なので、外出前に日焼け止めスプレーを髪に塗布しましょう。紫外線が強くなる夏は、こまめにスプレーし直すことをおすすめします。
ひどい浮き毛の原因は「成長過程の短い毛」「ダメージによる切れ毛」「加齢による頭皮や髪の変化」「乾燥」などが挙げられます。マスカラ型やスティック型など、手軽に浮き毛を直せるアイテムもあるので、スタイリングでひどい浮き毛に困っている場合は活用してみましょう。
ひどい浮き毛の予防には、健康的な生活習慣と正しいヘアケア・頭皮ケアが有効です。栄養バランスの整った食事など規則正しい生活を送るほか、シャンプー時やドライヤー時は髪を傷つけないよう配慮し、マッサージなどで頭皮の健康も保ちましょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。