髪の毛には、いろいろな太さがあります。髪が細くて猫っ毛の人もいれば、髪が太くて剛毛と言われる人もいるでしょう。では、髪の毛が細い・太いと判断される毛髪の平均的な太さはどれくらいなのでしょうか?
当記事では、髪の毛の平均的な太さや自分で髪の毛の太さを測る方法、髪の毛が細いと感じる場合の対処法を解説します。自分では細いと思っていても、実は標準的な太さかもしれません。髪の毛の平均的な太さと比べた上で、平均より毛質が細い場合には適切なヘアケアに取り組みましょう。
記事の監修者
崔 煌植医師
美容外科・皮膚科医
公益社団法人日本毛髪科学協会によると、髪の毛の平均的な太さは約0.07~0.08mmです。髪の毛の太さは、コルテックスの量によって変わります。
そもそも髪は、一番外側からキューティクル・コルテックス・メデュラという3つで構成されています。キューティクルは、半透明のうろこ状のものが重なった、髪の内部を守る働きを持つ部分です。コルテックスは、繊維状の束とそれを取り巻く構造から成ります。メデュラは、網目状もしくは多孔質構造をしたもので、詳しい働きはよく分かっていません。
髪の毛の85~90%はコルテックスが占めており、コルテックスの量が多いと髪の毛が太く、コルテックスの量が少ないと髪の毛が細くなります。一般的に、髪の毛の太さが0.06mm以上なら「太め」、0.04mm未満なら「細め」と言えます。
髪の毛の太さは個人差があるのはもちろん、人種や性別、年齢によっても変わってきます。
・人種による髪の毛の太さの違い
日本人女性の平均的な髪の毛の太さは約0.08mmであるのに対し、欧米人女性の平均は約0.05mmです。アジア人は髪の断面が円に近く、欧米人は楕円形になっていることも、髪質の違いに挙げられます。
・性別による髪の毛の太さの違い
一般的には男性よりも女性のほうが髪の毛が太い傾向にあります。男性の髪の毛が女性より細くなる理由には、髪の毛の生育・発毛を不安定にする男性ホルモンの作用が関係していると言われています。
・年齢による髪の毛の太さの違い
基本的には、子どもよりも大人のほうが髪の毛が太くなります。髪の太さは男性が20歳前後、女性が30歳前後でピークを迎え、加齢とともに髪の毛は徐々に細くなっていく傾向にあります。加齢に伴い頭皮も衰えることが、髪の毛が細くなる原因です。
そのほか、遺伝子も髪の毛の太さに関わる要素の一つです。生まれつき細毛の人もいれば、毛量が多い人もいます。
髪の毛の太さを自宅で何mmと正確に測ることはできませんが、髪が太いのか細いのかを自分で簡単に見分ける方法はあります。まず10~15cmの長さの髪の毛を1本用意し、親指と人差し指で髪の毛の端をつまみ、地面と平行になるように持ちましょう。このとき、髪がまっすぐな状態になれば「太い」、弧を描くように先が垂れれば「細い」と言えます。
自分の髪の毛の太さを正確に知りたい場合は、美容室やクリニックなどにある特殊な機械でチェックしてもらえることがあるので、一度問い合わせてみるとよいでしょう。
髪の毛の太さは、性別や年齢だけでなく、日々の生活やケア方法も関係します。適切な太さのある髪は、健康的な頭皮から生まれ育ちます。しかし、頭皮環境が悪化したりヘアサイクルが乱れたりすると髪の生育にも影響し、髪が細くなる可能性があります。髪の毛を太くしたいときには、頭皮の健康を保つ生活に改善することが重要です。
ここからは、髪の毛が細い人に向けて、髪の細さをカバーする方法や髪の太さを維持する方法を説明します。
髪の細さが気になるときは、ベリーショートもしくはショートにして、髪の毛が自然に立ち上がるようにしましょう。髪に軽さを出すことでトップにボリュームが出やすくなり、髪がぺたんとなってしまうのを防げます。その際、分け目はジグザグにして、地肌が見えないようにすることがポイントです。
また、髪全体にパーマをかける方法も効果的です。低温デジタルパーマであれば、通常よりも低い熱と優しい薬剤でカールを作るので、髪のダメージを減らせます。髪の長さを鎖骨あたりにし、表面にレイヤーを軽く入れれば、ふんわりとしたエアリー感を出せます。ただし、ロングヘアは髪の重みで頭頂部の髪がペタッとしやすいので、パーマをかける場合でもカットをするほうが髪の細さをカバーできるでしょう。
頭皮と髪の健康を維持するためには、その原料となる栄養素を適切に補給することが大切です。たんぱく質は毛髪を構成する成分、ビタミンは髪の健康を保つために必要な成分、ミネラルは髪の形成に関わる成分です。これらが栄養不足になると丈夫な髪が作られず、また髪に栄養が行き届かず成長を止めてしまう可能性があります。
たんぱく質の摂取には、鶏肉や豚肉、卵のほか、アミノ酸を多く含む魚もおすすめです。髪の主成分であるたんぱく質は20種類のアミノ酸で構成されるので、魚を食べれば複数のアミノ酸をバランスよく摂取できます。
また、ビタミンとミネラルは体内で合成できず、食べ物などから摂取する必要があります。ビタミンB6やビタミンB2のほか、ビタミンE、ビタミンCの摂取も心がけましょう。ミネラルはさまざまな種類がある中でも、亜鉛が髪の健康に関わってくるので、牡蠣や豚レバーなど亜鉛を多く含む食べ物も食生活に積極的に取り入れましょう。
髪の毛の太さを維持するために、スカルプケアを通して頭皮環境の健康も保ちましょう。正しい方法でシャンプーをすることも、頭皮ケアの一環です。シャンプー時は、ブラッシングと予洗いを行った上で、しっかりと泡立てたクリーミーな泡と指の腹で頭皮を揉みながら洗います。泡が残らないよう、すみずみまですすぐことがポイントです。
また、洗浄力の強いシャンプーではなく、穏やかな洗浄力を持つアミノ酸系シャンプーやベタイン系シャンプーがおすすめです。洗浄成分にアミノ酸を配合しているものをアミノ酸系シャンプー、植物由来の洗浄成分を配合しているものをベタイン系シャンプーと言います。どちらも天然由来の成分を含み、肌や髪への刺激が少ないのが特徴です。頭皮や髪にうるおいを与える保湿効果もあるので、乾燥を予防できるでしょう。
さらに、頭皮マッサージも加えると、頭皮の環境を保つのに効果的です。
頭皮と髪の健康を考えるなら自然乾燥はNGです。せっかく正しくシャンプーや頭皮マッサージをしても、濡れた頭皮や髪を放置しているとダメージを受けてしまいます。また、頭皮の雑菌が繁殖して、べたつきやにおいにつながる恐れもあります。シャンプー後はタオルドライとドライヤーですぐに髪を乾かし、水分で開いたキューティクルを閉じてあげましょう。
お風呂上がりの髪をタオルで拭く際は、ゴシゴシとこすらず、タオルで挟みながらパタパタと優しくたたいて水分を取るのがコツです。タオルドライである程度水分が取れたら、ドライヤーで根本から乾かしていきましょう。全体の8割が乾いた段階でドライヤーを弱温風やセットモードに切り替え、トップや前髪などヘアスタイルを整えます。最後は冷風を当てて仕上げましょう。
何気ない毎日の生活環境が、髪の毛を細くする原因になることもあります。たとえば、睡眠不足は血行不良や成長ホルモンの分泌不足につながり、頭皮や髪の健やかな成長を阻害します。喫煙は、髪の栄養分となるビタミンB12やビタミンCの吸収を妨げます。そのため、髪の毛の太さを維持するなら、健康的な生活習慣を心がけましょう。
タバコは禁煙し、飲酒は適量を守るか断酒します。間食は控えても過度なダイエットはせず、朝食・昼食・夕食を通してたんぱく質・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取しましょう。また、体を動かすことは、良質な睡眠にもつながります。定期的な運動を取り入れるほか、就寝前にスマートフォンの画面を見ないようにするなど、睡眠の質を高める工夫も凝らしてみましょう。
髪の毛の平均的な太さは約0.07~0.08mmで、太さが0.06mm以上なら「髪が太い」、0.04mm未満なら「髪が細い」と言えます。髪の毛の太さは加齢とともに細くなりますが、日々の生活が髪の毛を細くする原因になることもあります。
そのため、「髪の毛を太くしたい」「髪が細くなるのを防ぎたい」という悩みがある場合は、まず生活を見直してみましょう。髪の毛の太さを維持するには、髪の土台となる頭皮の健康を保つことが大事です。シャンプーや頭皮マッサージはもちろん、食事や睡眠、運動なども頭皮の健康に関わるので、まずはできることからセルフケアを実践してみましょう。
記事の監修者
崔 煌植 医師
美容外科・皮膚科医
経歴
・元大手美容クリニック大型院 院長
・サラクラアズクリニック 技術指導医
・AND美容外科心斎橋院 院長
・「サイ先生の糸リフト塾」 代表・講師
所属
・韓国美容外科医学会 (KAAS)
・日本美容外科学会 (JSAS)
アンチエイジング・たるみ治療のスペシャリスト。
特にミドル世代からの支持が厚くファンも多い。
得意施術の「糸リフト」は症例件数10,000件以上(西日本 1位)、ベストショットアワードなど数々の賞を受賞。複数の美容クリニックで院長・技術指導医・監修医を兼任する傍ら、糸リフト実践セミナー講師として全国の美容ドクターの技術指導に携わる。